long story
□十
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「そろそろですね。」
凛々蝶様をお出迎えするべく僕は車から降り外で待機をしていた。
その時、
「ん?あれは……」
僕の横を凄い勢いで駆け抜いて行くあの方は、
「並木さん?」
何やらただならぬ様子で。
空を見上げれば明るい、まだ時間帯的には危険では無い筈。
しかし並木さんのあの焦りよう、少し心配ですね。
凛々蝶様にもしもの事があれば……。
僕はその後を追った。
並木さんが向かっているのは凛々蝶様の教室。
やはり何かあったのか……。
そして追って来てみれば前方に見える人だかり。
並木さんはその前で止まった。僕もその少し離れた後ろで足を止める。
凛々蝶様はどちらに……。
よくよく目を凝らしてみればその人だかりの中に紛れて居たのは夏目さん。そして後ろには渡狸さん、髏々宮さん、凛々蝶様………。
ご無事の様で良かった。
僕は胸を撫で下ろした。
そして凛々蝶様に手を引かれている天草さん。
ゾク――――………
不意に寒気が走った。
この気配………殺気にも近い。
それを出している張本人は目の前で夏目さんに笑顔を向けている並木さんから感じる。
何だこの感じ……。
僕の中の本能が危険を察知する。周りの方達も、夏目さんも含め恐怖で引いている。
今に泣きそうな方までいらっしゃる。
「夏目、こんな所で何をしているんです?」
並木さんの笑顔、何時もの何倍も不気味に感じる。
目が笑っていない。
「竜たん早かったね」
「何をしていると聞いているんです、夏目。」
そんな夏目さんの冗談紛いの態度も一掃。
何故このような状況になっているのか、夏目さんが並木さんに一体何をしたのか、全く読めませんが一つ分かるのはいつ並木さんが夏目さんに襲いかかっても可笑しくないということ。
僕は何時でも並木さんを止めにかかれるよう体勢を整えた。