long story
□参
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夏目 残夏。
百目妖怪の先祖返り。
あの人の前で気を抜くとあっと言う間に視られてしまいますから要注意しなくてはですね。
もっと鍵を掛けて……。
大切な部分は奥深くに隠して、視つけられないように。
それにしても、
「何処に行ったのか……。」
もうすぐ日が暮れる。
それなのにどこを探しても彼女の姿が見つからない。
外に出てないといいのだが……。
「並木さん、どうかなさいましたか?」
探していると不意に後ろから声を掛けられた。
声の主を辿ればそこには、
「凛々蝶様、御狐神君。もうお帰りですか?随分と早いご帰還で。」
凛々蝶様こと白鬼院 凛々蝶とそのSS、御狐神 双熾が立っていた。
「ふん。僕がいつ帰ろうと君には関係無いだろ。」
相変わらずの悪態っぷりで。
「で?君の方は何かあったのか?さっきからキョロキョロとしているみたいだが。探し物か?」
「ええ、探しモノには違い無いのですが。」