long story

□五
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「ようこそいらっしゃいました。お待ちしておりましたよ。」


並木さんに招かれて部屋に入ってみれば、物一つ無い広い質素な空間が我々を向かえた。


「文字通り何もありませんが、此方にクッションだけでもと用意させてもらいました。」


どうぞ、と渡され、そこに座るよう促される。


そして今回の主役とも言われる天草さんはといいますと、状況について行けないとばかり呆然と立ち尽くしていらっしゃった。

これは………。



「天草さん。」



僕の呼び掛けに一瞬肩をビクつかせたもの、その後おずおずと「はい……。」と小さな声で答える。


「自己紹介がまだでしたよね。僕は御狐神 双熾と申します。こちらの凛々蝶様のSSをさせていただいております。」


彼女は僕の方をジッと見る。
凛々蝶様の瞳も勿論澄んでいて美しいですが、天草さんの瞳も、何と言いましょう、


一点の汚れも無い、汚れを知らない、純粋無垢のような、そんな瞳をお持ちでした。


「ふん、名乗らない奴に名乗りに出るとは釈然としないな、4号室の白鬼院 凛々蝶です。」


凛々蝶様は一つお辞儀をした。

天草さんは暫く見た後、


「0号室の………天草 光です……。」


と凛々蝶様を真似てお辞儀をしてみせた。





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