long story
□七
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口下手の私にとって話さずとも伝わるというのは助かるが、こうも意気なり会話に入ってくるのは正直のところ心臓に悪い。
毎回ビクつく私の身にもなって欲しい。
「ごめんごめん」
また……。
「夏目、何か用ですか?」
「まあ、人見知りの激しいひかたんに救済の手を〜ってね♪」
「結構です。私が居ますから。」
並木は大抵の人には"さん"か"様"付けだが夏目に対しては呼び捨てをしている。
やはりそれなりに親しいからなのだろうが、気のせいか時々風当たりが厳しい気がする。
「いやん、竜たんの意地悪〜。」
まあ………必然的に厳しくなるというのも分からないでも無いが。
「でも具体的に何するとか決めてないんでしょう?」
「………。」
並木が笑顔で黙る。
少し怖いが珍しく押されているらしい。
「ひかたんのためにもさ、時には自分の気持ち押し堪えて人に頼ることも大事だよ〜?」
その台詞を聞いた並木は少し眉を吊り上げた。
「視たのですか?」
「うふそんなの視なくても分かるよ〜。ひかたんを他の人に渡さないように周りを敵対視してるのバレバレだしね☆」
すると並木は観念したらしくため息をついて遂に、
「分かりました。では少しばかりあなたの力を借りることにしますよ。」
「さっすが竜たん。話分かる〜☆」
折れた。