long story

□八
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「ひかたん本当に何も持ってきてないんだね〜。」



何がいると聞かれたので私はとりあえず単語だけでも並べて答えた。



「………時計………お皿………箸…………なべ…………」

というか全部。



「じゃあゆっくり順番に回って行こっか♪」


私は首一つ動かした。そしてそれを合図に買い物の開始。


最初に時計。

出来れば木製っぽいのが欲しいんだが。


此処と決めて入った店はインテリや雑貨などが沢山陳列されてあった所でとても可愛らしい。


「見て見てひかたん〜

物色していると夏目が何かを持ってきた。


「これなんてどう?♪」


見せられたのはうさぎ型の時計。


「夏目……、それ貴方の趣味でしょう?」


並木が後ろからやって来て容赦無く突っ込む。


確かに夏目がいつもモチーフにしているうさぎ。


でも。



「え〜、やっぱダメ?」


「………です。」



私の言葉に二人は聞き取れなかったのか此方を見た。


「良い……です。それに…します……。」


それを聞いて驚いて目を見開く。


「いいのですか?こんな子供染みた、夏目の趣味全開のこんな物で?」


"こんな"って二回言った。


「ヒドイ竜た〜ん。」


夏目はあからさまにシクシクと泣き始めた。

私はその夏目から時計を取り、じっくり見る。


うん、



「可愛いです。」


そう言うや否、並木は突然顔を背け、


「そうですか。光様が良いなら良いのです。」


と言い、口元を手で覆い隠しながら店の外へ消えてしまった。



気分でも悪いのだろうか……?



取りあえずその時計を買うべく私はレジへ向かった。





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