ごちゃ混ぜ短編
□竜持+凰壮×虎太(銀オフ)
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「虎太くん、サッカーもっと巧くなりたくないですか?」
それは三つ子の次男、竜持の言葉から始まった。
「…?当たり前だろ」
唐突な弟からの質問に今さらなんだ、と虎太は首を傾げる。
「実は、サッカーが巧くなる儀式がありましてね。虎太くん試してみませんか?」
ニコニコと人好きのする笑みでそう提案する竜持
「儀式とか胡散臭い。サッカーは自分の力でやる」
機嫌を損ねたのか、虎太は顔を歪めてそっぽを向いた。
「そうですか…残念です。この儀式はちゃんと成果が上がっているというのに」
わざとらしく肩を竦めた竜持はクルリと虎太に背を向ける。
「せっかくですし、凰壮くんに奨めてみましょう」
その言葉に虎太はピクリと反応した。
「凰壮くん、降りてきてくだ「待て」…どうしたんですか?虎太くん」
二階へと声をかけた竜持を遮って竜持の服の裾を虎太が引っ張る。
「…俺が儀式やる」
一度断った手前バツが悪いのか視線は斜め下を向いている。
「そうですか、分かりました。では凰壮くんに奨めるのはやめましょう」
だから、虎太は気づかなかった。
竜持がニヤリと口角を上げたことに…
愉しげに三日月型に細められた目を獲物を捕らえた獣のようにギラと光らせた竜持
それに気づいていれば、さっきの言葉はハッタリだと頭の良い虎太なら気づいただろうに…
しかし、竜の策にハマった虎はもう既に逃げ場を失っていた。
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