おとしもの
□4.高校入学
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月バスをみてから、秀徳のマネージャーの”七原小羽”が気になっていた。
小羽なのか?
きっとそうなのだろう。
想像以上に、可愛い女性だった。
華奢で、笑顔が自然で、メールで話すそのままを映す鏡のようだと思った。
知らないほうがいいかとも思ったが、
真太郎に確かめることを、我慢できなかった。
電話で聞いたその内容は、
とても受け入れがたい事実で、
ずっとメールのやり取りをしていた、”小羽”がほんとうに秀徳のマネージャーだった事実よりも、
思いのほか、綺麗な子だったということよりも、
黒子の従妹だったという衝撃よりも、
何よりもー
恋人が、黄瀬だったこと・・
それが、
いちばん
心に突き刺さった。
あのとき、
自分で、付き合うことを勧めたくせに。
彼女の安全のためにと、安易に、
告白をされたという男に譲り渡したことが、
こんなにも後悔することになるとは。
俺の人生に、いままで
後悔なんて言葉はあっただろうか。
一度も、自分で選んだことに悔いたことはない。
雑誌の中の小羽を見れば見るほど、今までのメールの主がこの子だったのかと思いを馳せて、それが大きくなっていった。
黄瀬は、外面も定か、とても一図で一生懸命だ。バスケに対しては特にそうだった。
中学時代、特定の女の子にさほど興味がなかったのか、黄瀬目当てに集まるファンの子をあしらうのは上手かった。勝手によってくる彼女気取りな女子はいたようだが、恋愛という意味では、特別な子を作らなかった。
あの頃、おそらくそういった相手には、出会わなかったのであろう。
自分を含め、キセキの世代のほかのメンバーも、そうだったからだ。
それから、幾度か、
緑間から小羽に関する連絡と写メが来た。
どうやら俺が小羽の、メールの相手だと気付いたようだった。
今回に関しては、緑間にしてはめずらしく感が鋭い。
その中の写真では、お弁当を食べる小羽の姿や、音楽科の試験でピアノを弾く姿とか、体育の時間にバスケットボールをする姿があった。
完全に盗撮だな、
そう思い苦笑しつつも、緑間の撮る小羽の写真の出来に、感心した。
メールで会話しているままの、
ありのままの小羽の姿だ。
今にも笑いだしそうな小羽の笑顔を見て、
俺は、京都から、その様子を楽しんでいた。