おとしもの
□1.紫のスマホ
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”小羽”とは、時々メールをするようになった。
メールが来たかと思えば、他愛もない話だったり、そのあとしばらく連絡がなかったり・・
俺も忙しい毎日を過ごしていたため、
ちょうど良いペースで、気負いすることなくメールを続けられた。
あの、LINEのお名前が
Seiって
なってるんですが・・
せいくんって
呼んでいいですか?
いいよ。
でも くんって歳では
ないかもしれないよ?
え・・・・。
そうなの!?
さあね。
むむ
(●`ω´●)
小羽は、俺の名前も年齢も住んでいるところや学生なのか、社会人なのか、
聴くことはなかった。
俺も彼女のことを、詮索するつもりはないし、
むしろそこまでの興味はなかったのかもしれない。
ときどき、学校のこと、家のこと、バスケのこと、
小羽とのメールは、そんな日常をただただ会話するメールだった。
☆☆.☆.。.:*・.☆.。.:*・゜゜
「おはよう。」
「おはようお兄ちゃん。」
歯磨きをしようと自室から廊下に出たところで、試合に行く準備のできたテツヤが部屋から出てきた。
「小羽は今日も応援に来ますか?」
「うん、行ってもいい?
最近バスケの試合みるのが楽しくって。」
「帰りは暗くなるし、気をつけて下さいね。」
「うん、わかった。
お兄ちゃん、試合頑張ってね。」
はい、と言ってニッコリと笑うと、テツヤは階段を下りていった。
兄の調子は今日もよさそうだ。
せいくん、
今日もバスケの試合を
観に行きます。
ちょっとずつルールが
解ってきたかも♪
へえ、
この間は女子のも観に
行ったって言ってたね。
女子のも面白かった
けど、男子の迫力には
敵わないね。
部活とかやってないの?
今はやってません。
前の学校では、
ピアノをやっていて
部活をやる時間が
なかったから。
俺もピアノをやっていたよ。
昔だけど。
(゚o゚;;そうなんだ!
せいくんは、いろんな事を出来るっぽい。
他趣味なのか、それとも器用なのか?
私にはないものを持ってる人だってことは、解った。