おとしもの
□2.新しい季節
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おはよう。
昨日は試合だったんだろ?
どうだった?
おはようございます。
勝ちました。
今日も2試合あるので
頑張ってきます!
そうか、順調だね。
駅で電車待ち中。
ねこ発見!
可愛いけど、
荷物多すぎで
撫でれないよ
( ; ; )
寄り道せずに
いくこと。
せいくんとのメールを駅で終えて、大きなクーラーボックスを二つかかえて電車を待った。
昨日の試合は、快勝。
初日で1試合しかなかったし、とりあえずは今日の2試合もすごく強い相手というわけではない。
きっと勝てる。
兄の方も試合が始まっているから、観に行きたいのだけれど、ちょうど時間が被っているし、基本帝光は学校集合・学校解散が多いため、観に行けない。
うちに帰って、兄の帰りを待って結果を聞くんだけれど、やっぱり生で観に行きたい。
「おはよう、七原さん。」
「え・・・」
自宅の最寄りの駅で電車を待っていると、桐谷くんがいた。
彼の家は、たしか・・
まったく別の方だったような
「おはよう・・どうしたの?」
「七原さんが、荷物多いと思って。」
「でも、駅違うよね?」
恐る恐る聞いてみた。なんとなく答えを聴くのが怖かったけど、明らかに不自然だ。
「まあね。でもいいじゃん、たまにはさ。
俺、スタメンじゃないし、このくらい手伝わないと。」
そう言って、昨日と同じように、クーラーボックスをひとつ、肩からスルリと取り上げた。
「あ、ありがと。」
学校に着いて、集合時間より早い時間だったから、桐谷くんはドリンクのセットを手伝ってくれた。
特に何か言われたり変な感じはなく、ふつうにとても親切に手伝ってくれる。
やっぱり、ストーカーってのも気のせいだったのかもしれない。
駅に来てくれたのも、もしかしたら本当に親切心で・・なのに私ってば、勝手に警戒しちゃって。
ちょっとだけ反省・・。
「ありがとう、あとは私がやるから、桐谷くんは自分のことして?」
「あぁ、じゃあ七原さん、今日も頑張ろうな。」
手を振って、行ってしまった桐谷くんの後ろ姿を見て、ちょっと申し訳ない気持ちとホッとした気持ちが入り混じった。
またせいくんに
相談してみようかな・・。
男の人なら、男の子の気持ちわかるかもしれない。
でも、相談内容が幼くて笑われるかな。
.☆.。.:*・゜。+゜*。
「小羽っち、全中予選優勝おめでとッス!!」
黄瀬さんから、電話だ。
ときどき、電話をしてくれるけど、いつもテンションが高くて、この人は落ち込むこととかあるのかな〜なんて考えてしまった。
「ありがとうございます。
黄瀬さんもIH出場おめでとうございます!」
「まあ、これから先が勝負っすよ。
黒子っちたちの誠凛とか緑間っちの秀徳とか、あとは洛山・桐皇・陽泉とかとやるのが、楽しみっス。」
「帝光にいた人たちって、みんな全国に散らばっているんですね。」
改めて、驚いた。
全国の有名高ばかり、きっとキセキのメンバーなんだろうけど、そんなところに行けるんだ。
私もいよいよ進路を考える時期になってきた。
バスケのマネージャーもやりたいけど、その前にやりたいこともある。
「小羽っちって、進路とかもう決めてるんスか?」
「ん〜まだです。
いろいろと考えていることもあるんですけど・・。」
「そっか・・。
高校ではマネやるんスか?」
正直、ちょっとおそるおそる聞いてみた。
ここでマネやらないって言われたら、かなりがっかりだ。
海常に来て欲しいってのも、今はまだ言わない方がいい気がして、ちょっと探りを入れてみた。
なにぶん、海常は神奈川の学校だ。
マネージャーやらないのに、わざわざ東京から通う学校じゃない。もしマネやるつもりがなかったら、絶望的じゃないッスか。
「はい、できればそのつもりです!」
よかった・・
きっとあれだけバスケを好きになってくれたのだから、マネは続けてくれるとは思っていた。
小羽っち、成績もかなり良いって聞いたし、うちの学校じゃなくても別の高校だって、いくらでも行き先があるだろう。
「小羽っち、インハイ終わったらおつかれさん会しないッスか。」
「楽しそうですね。
でも私は引退だからいいけど・・お疲れ様会しないうちに、
黄瀬さんの方が忙しくなるんじゃないですか?」
まあ、確かにそうだ。
去年もIH終わった瞬間、すぐにウインターカップの準備のための練習をした。
その時のことを思うと確かに、IHが終わったからってのんびりは出来そうもない。
ただ、小羽っちと出かけるのなら、ちょっとの時間でも作る自信はある。
いや、いきなりふたりきりってのは、
小羽っち引くかもしれない。
「あ、ごめんごめん。
大丈夫ッスよ。夏休みには1日くらい休みあるっスから。」
「いつも忙しくしてるんですから、
あまり無理しちゃダメですよ。」
小羽っち、
やっぱ俺
小羽っちのこと
好きッス!