おとしもの

□4.高校入学
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「もしもし・・・

赤司か。」





『やあ、真太郎。久し振りだね。』






誰かと携帯を取れば、中学時代のチームメイトで、帝光中学バスケ部の元キャプテン、赤司征十郎だった。
帝王といえる、負け知らずの赤司征十郎は、自身が最も尊敬でき一目おく存在でもある。

人一倍忙しいはずなのに、それでもチームメイトの事を気にかけ、マネージャーには一言のお礼を忘れず、全員を従わせるまでのバスケの技術と統率力。

きっと高校でもそれは変わらないのだろう。



そんな赤司が、ホームルームが終わった部活前、一体何の用なのかと不思議だった。




『聞きたいことがあってね、』





そう含みのある言い方をしたかと思うと、今は電話をしていて大丈夫かと、気に掛ける。





「赤司、なんだ?インターハイのことか?」



『いや、秀徳のバスケ部の事なんだが・・。』




「部内の情報は、教えないのだよ。」



『もちろんだよ。
俺の聞きたいのは、真太郎のところのマネージャーの事だ。』





一瞬、意味が分からずなんのことだと言いかけたが、桃井の能力を見いだしたのは赤司だったことを思い出し、マネージャーの小羽になにか引き出せる能力でもあったのかと、そう思った。




「マネージャー・・。
七原小羽のことか?」




『あぁ、彼女のことで聞きたいことがある。』




「ただの1年のマネージャーなのだよ。
赤司が目にとめるようなことは・・」






言いかけて、ハッとした。

小羽が秀徳に入学してから、まだ一度も洛山高校とは試合をしていない。
なぜ赤司が小羽の事を知っているのだろうか。
試合どころか、彼女はまだ公式戦のベンチに入ったこともないのだ。





『その七原というマネージャーのことを教えて欲しい。』


「・・小羽は、ただのマネージャーなのだよ。
帝光中出身で、黒子の妹だ。」





『・・黒子の?』






声のトーンからは、さほど驚いているようには聞こえなかったが、聞き返すという行為自体が、赤司には珍しい。



「そうだ。正式には従妹なのだそうだよ。
訳があって一緒に暮らしているそうだ。」




『その子は、音楽科に?』



「ピアノ専攻の音楽科だ・・・知っているのか?」






少しだけ、確信した。
赤司は何かを知っている。

小羽とは、恐ろしい奴だ。
黒子の妹だということだけでも驚いているのに、黄瀬が彼氏で、なおかつ赤司とも知り合いなのか?








『じゃあ、彼女のもっている携帯の特徴は・・・?』














     ・・・星の飾りのついたむらさき色だ・・・









『そうか・・・。』










一体、携帯がなんなのだよ!!

まったく先の見えないハナシに、少々不服だったのだが、携帯に何があるのか・・?







「もういいのか?
ちなみに、小羽には恋人がいるのだよ。





『あぁ、知っているよ。』







少しだけ、声のトーンが落ちたような気がした。


恋人が黄瀬なのを知っているのか。
まさかそれで気になった、というわけじゃないだろうな。









「黄瀬とは、うまくやっているのだよ。」





『黄瀬?

黄瀬が恋人なのか・・・?』





珍しく赤司が、声を乱した。
こんなことは今までに見たことも聞いたこともない。

常に冷静で、見透かしたように、
そんな物言いしか・・。


黄瀬が恋人なのは知らなかったのだな。






「小羽が中学のころから付き合っているのだそうだよ。
黄瀬が時々、うちの学校まで迎えに来ているがかなり鬱陶しいのだよ・・!」






『黄瀬か・・・・』





それから赤司は、多くは話さず、
簡単に礼だけいうと電話を切った。



一体何なのだというのだよ。












小羽に、洛山の赤司から小羽の事を聞かれたと言ったら、なぜか喜んでいた。
偵察ですかねーなんて、能天気なやつだ。


携帯を誰かに見せたことがあるか、と尋ねると、母の形見のようなもので、とても大事にしているという。
ただ、一度携帯をなくしたのを拾ってもらったときに知り合った人と、メル友になってもう2年くらいメールのやり取りをしているのだという。










まさか、そのメールの相手とは・・・
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