おとしもの
□5.夏・合宿!
1ページ/15ページ
せいくん
ご無沙汰です。
ちょっと教えて?
なんだい。
久し振りだね。
もうすぐ期末テスト
なんだけど、
物理でわからないところ
あるんだよ〜(´;ω;`)
お兄さんに
聞いたほうが
わかるんじゃないのかい?
わかんないって
断られたよ(つд⊂)エーン
じゃあ彼氏は?
勉強は聞かないでって
言われてる・・
そうか。
じゃあ、問題を
写メっておいで。
お願いします。
□画像1
ちょっとの間、せいくんとはメールをしていなかった。
というのも、この間、
りょうくんと学校帰りに話をしたとき、
話の流れからせいくんの言ってた話題を話したら、なんだかヤキモチ焼いたみたいで、その代わりに毎日りょうくんとメールをする羽目になったのだ。
もちろん、おやすみーとかそんな程度だったんだけど、帰るのがただでさえ遅いのに、メールのノルマまで課せられて、せいくんへのメールを送ろうと思ってたら、あっという間に11時すぎてたり、ちっとも連絡できないでいた。
物理だけじゃなくて、数学も聞きたいし、あとはバスケ詳しいから、そのことでも聞きたいことがたくさんあるのに・・。
せいくんは今年のインターハイ、見に来るのかな。
出会ったのは2年前のウインターカップ。
出会った、といっても、
直接出会ったのは、私の携帯とせいくん。
それからずっとせいくんの言葉に助けてもらいながら、母の死と慣れないところでの生活を乗り切った。
彼のアドバイスは適格だったし、とても温かいものだった。
いつかせいくんのような人と出会いたい。
そう思うようになっていった。
〜〜〜▽〜〜〜▽〜〜〜▽〜〜〜
中学時代の親友、凪沙は同じ秀徳高校の普通科。
校舎の棟は違うけれど、時々時間を作って会ったりする。
やっぱりいろいろな相談をするには、女の子の友達だ。
「ねえ、小羽ってば。
今日は3年の先輩たちとお弁当食べなくていいの?」
「うん、今日は先生に呼ばれてるんだって🎶」
あらあら、なんだかうれしそうな小羽。
やっぱり可愛いわ、この子。
「バスケ部のマネージャーはどうよ?」
「んー、まさか一人だとは思わなかったから、結構仕事は多くて大変。」
そりゃそうだ。
帝光中バスケ部でさえ100人も部員がいて、でもマネージャーは各学年2〜3人はいた。
此処(秀徳)では、バスケ部員は3学年合わせても70人程度。それでもマネージャー1人ってのは、相当なオーバーワークだ。
「あんた普通科で、すっごい話題になってるよ。」
「え?なんでだろ。」
全然気にしてなかったんだ。
そっちのほうがすごいわ。
「男子からは可愛いって声、女子からは黄瀬さんの彼女だってすごいウワサだよ。」
「あー、そっちかぁ。」
「あんた、のんびりしてるわね。
「んー・・・だって、気にしてもしょうがないし。事実だし。」
その通り、人気モデル黄瀬涼太の彼女だってことは、いろいろなことのターゲットにもなり得る。
「ところでさ、もうすぐインターハイ予選でしょ?
バスケ部男子も合宿するの?」
「うん、するよ。
今年は海へ行くんだって。
いま監督とコーチと私とで、いろいろ作戦を練っているところ。」
「なに・・あんた行くつもり?」
「あったりまえだよー👍」
なんでこんなに楽しそうなんだろう・・。
女子一人しかいないって意味わかってんのかな。
「インターハイに出場決めて、3年生も一緒に行けるように頑張るよ!」
「そうなんだよね〜。女子バスのほうは、今年は厳しいかなぁ〜・・。先輩たち結構故障してる人、多いんだよね。」
凪沙が珍しく弱気だ。
あんなにすごい選手なのに、高校に来ると、やっぱりすごい選手はほかにもたくさんいて、今は本人曰く、壁にぶち当たっているのだとか。
きっとそんなのも、次に会った時には乗り切っちゃってるんだろうけど。
「で、カレシとはどうなのよ。」
凪沙は、にやにやしながら肘でつついてきたもんだから、お弁当のソーセー人(ソーセージを宇宙人型にしたもの)を落としそうになった。
「ふつうに仲良くやってるよ。
この間も、此処まで来てくれたし。」
「さっすが黄瀬さん!ぬかりないわねー」
「うん、意外とマメなところが多くてびっくりしてるよ。」
そうなのだ。もっと女の子に慣れていて、学校まで来てよ、とか言われるかなと思ってたのに、何も言わずに秀徳まで来ていたりする。
いや、女の子には十分なれているとは思うんだけど・・・。
「でも、やさしすぎるっていうか・・。こんなに甘やかされて、いいかなって思うんだよ。」
「あらーー、惚気ですか?」
「ちがうちがうっ////
もっとりょうくんが我儘でもいいんじゃないかなってことで・・!」
くすっと笑うと、わかってるよ、と凪沙。
またからかわれた〜
「あー予鈴・・」
「ほんとだ〜」
「あっという間だね。」
「うん、早かったよね。」
休み時間を惜しみながら、また一緒に食べようって約束をして、別れた。
インターハイ予選、それから合宿・・忙しくなりそうだから頑張らないと。