おとしもの

□6.秋風
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◇学園祭シーズン



まだまだ暑い日がある中、朝晩は涼しい日が続く秋らしい日が多くなった。
その中でも、今は学園祭シーズン。

今日は、海常高校の学園祭だ。


最終日の今日は、バスケ部の出し物とクラスの出し物があるから、小羽っちにも来てほしいと頼んだのだ。





「あー!!」


「なんだよ黄瀬!うっせーな!」


体育館の脇では、バスケ部の出し物のダンスの準備で、衣装に着替えた部員たちがスタンバイしていた。


「小羽っちが今来たっス!よかった〜間に合ったんスねー!」



携帯電話でメールをチェックした黄瀬涼太は、嬉しそうに携帯の画面をひっくり返して小羽からのメールを見せた。




「あぁ、あの秀徳の超美人マネの・・・小羽ちゃんだっけか。
マジで黄瀬の彼女なのか?
おまえが言うと嘘っぽいな。」




「ちょっとちょっと、嘘じゃないッスよ。

今月の月バスの特集見たッスか?
俺10冊も買ったッスよ!」






【月バス特集・・有名高校バスケ部の美少女マネージャー】







「桐皇学園の桃井マネージャーと、秀徳の小羽ちゃんだろ?
あとは対して可愛くなかったな。」


「そうッスよね〜🎶
小羽っちは最っ高ーーーに可愛かったッス!
ただ、日本中の高校生たちの目に触れたってのが、気に入らないッスけど。」



『有名校の美少女マネージャー』、という見出しで始まった月バスのその特集は、桃井さつきと七原小羽とが中心の、部員のサポート役という内容ではあるが、写真は彼女たちの様々な表情を見ることができる、アイドルかなんかの写真集のような感じになっていた。

小羽っちは、なんと大きく1ページに写真が載っているし、いろんなカットで写真が載っていた。
絶対この記者、小羽っちのファンだし。



発売以来、ツイッターとかには小羽っちが可愛いとか天使とか、仲良くなりたいとか紹介してとか・・

とにかく彼氏である俺は完全無視の感じのツイートも、
嬉しいけど腹立たしい、複雑な感情だ。







舞台袖から、ちょっと客席をのぞいてみたら、小羽っちは後ろのほうの端の椅子に座っていた。


「あーあ、あんなに端っこに座らなくてもいいのに。」


「てか、この会場、お前目当ての女子ばっかになってんじゃねーか!」



キャプテンが頭をぐりぐりとゲンコツしてきた。
確かに、ペンライトなんか持った集団とか、『涼太』って書いたウチワとか持ってる子がいるのは、俺のファンってことになる。





「いやー、参ったッスねー・・・ぐはっ!」



そういい終わる前に、仲の良いバスケ部員から蹴られた。
ほんとにひどいッスよ〜













°˖✧◝(⁰▿⁰)◜✧˖°°˖✧◝(⁰▿⁰)◜✧˖°







「お疲れさま。」


「小羽っち!!来てくれてありがとッス💛」


すぐに姿を見つけて駆け寄ると、いつもの感じでにっこりと笑ってくれた。
それだけで、最高に可愛くて。
ほかの部員たちに自慢したくて。
小羽っちのおでこにキスをした。



「うおぉぉぉ!
き、黄瀬先輩!!めっちゃうらやましいッス!」


「黄瀬死ね!!」





顔を真っ赤にした小羽っちは、下を向きつつ困った顔をしていて、なんだか人前でこういうのは嫌だったのかと反省。



「ごめんス。可愛かったッスから、つい。」


「え、と・・いえ・・大丈夫です。」



「ちょっと回ろうか?」



「んー・・今日は止めておきます。
ファンの女の子たちが待っているみたいだし。」




控室の外は、既に黄瀬涼太の出待ちの女の子たちでいっぱいだ。
いつもに足して、他校の女子たちもわんさと押し寄せて、凄いことになっている。





「そっか、ゴメン。小羽っちが危険スよね。
来てくれてありがとう。
ほんとうれしかったッスよ。」




「はい、あの、 」



「?」





「・・また話します。

じゃあ、今日はこれで。」



ちょっと他人行儀みたいに感じたから、気になったけど、手を振って足早に帰って行ってしまった。

なにか言おうとしてたな。
珍しく。




嫌な予感はした。でもそれはきっと何かの気のせいで、考えなくてもいいと言い聞かせて、
それから、彼女と過ごした楽しいこととかこれから行きたいところ、それから驚かせること、いろいろと思いつく。

もう完全に小羽っちと自分の生活が切り離せないんだと、つくづく思った。






「小羽っち、本当に好きッスよ。」








・・・・てめぇ






「なーに浸ってんだよ!!!」

「お前にはもったいないわ!!」

「死ね黄瀬!!」

「お前に青春はいらん!!!」








結局部員たちに蹴られ、絞められ、




バスケ部主催、


【バスケ部と黄瀬涼太のチャリティバザー】


とやらに、強制参加させられたのだった。
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