おとしもの
□9.咲く花の色
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◆ストバスA(赤司視点)
「赤司っち、小羽っちとはどうスか?
この間、黒子っちから聞いたッス。
赤司っちがずっと小羽を支えてきたメールの相手だってこと。
小羽っちきっと驚いたッスよね。」
いつもの調子で、一番話しにくいことだろうにそう言って爽やかに笑った。
黄瀬のいいところは、そういう裏を作らないところだ。
「実は、メール相手の『小羽』が秀徳の『七原小羽』だと知った時には、もう黄瀬と付き合っていたんだ。
黙っていて本当にすまなかった。」
「なんで謝るんスか。
小羽っちはその時ちゃんと俺の彼女でいてくれたし、俺の事を好きになろうと努力してくれた。
ただ、そうなれなかっただけッスよ。
でも、小羽っちの事は、今でも大切ッス!
赤司っちが、万が一小羽っちを傷つけて泣かせるようなことがあったら、すぐにでも俺がもらいに行くッスからね!」
そういって、決めポーズを投げかけて、モデルそのものの笑顔で言ってくれた言葉は、とても嬉しかった。
「もちろん、そんなことはしないさ。
大切にするよ。」
「約束ッス!」
「黄瀬、ありがとう。」
たったそれだけの会話だったが、
黄瀬が小羽の事を今でも大切に想っていて、友人として支えようとしていること。
それから、彼女の幸せを心から願っていることがよくわかった。
・・・・🐞・・・・🐞・・・
おまけ
「紫原くん。」
「んー、なに?黒ちん。」
「小羽が赤司くんと付き合っているの、知っていましたか?」
「あー・・黄瀬ちんと別れたのは知ってたよ。
でも、赤ちんと付き合ってるって知ったのは、今日。」
おい、黒子・・
なんで今ここでその話を。
でも紫原は知っていたのか。
「でも結構ショックだったかなー・・
はねちん、可愛いしお菓子好きだし、気が利くしすごく可愛いし、凄くタイプだったんだけどー」
今、可愛いし2回言ったな。
よっぽど気に入っていたんだ・・。
「むっくん、今日誰から聞いたの?」
「えー?黄瀬ちんだよー」
「きーちゃん?」
「そ、黄瀬ちんさー、結構未練がましいよね。
とっくに振られてんのにさー、はねちんのどこがかわいいとか、性格がいいとか、そういう話ばっかしててー、ちょっとムカついたよ。」
「「へ、へえ〜・・」」
「あいつは小羽の事を、まだ好きなのかもしれないのだよ。」
「そういうみどちんもでしょー?」
「っち、ち、ちがうのだよ!!」
「緑間くん、そんなに大声で否定しなくても・・」
「緑間、おめー卒業するとき、告ったりしなかったのかよ。」
「しないのだよ!!小羽とは先輩後輩の間柄でっ・・・」
「そんなことを言っているから、赤司くんが横からかっさらっていったんですよ?」
「そうだよー、一番みどりんが近くにいたのにねー?」
「・・そもそも・・
もともと赤司が目を付けていたのだよ。
・・・赤司には、敵わないのだよ。」
「あー俺も同感ー・・。
赤ちんには勝てそうな気がしないわー」
「お前ら、そんな事言ってっから試合も負けちまうんだよ!」
「じゃあさー、みねちん、赤ちんと恋敵になる勇気あるー?」
一瞬、その場の空気が凍り付いた。
そんな勇気のあるものは、この中には誰もいないだろう。いや、この中どころか、この日本の中でいるのか?
当然青峰の答えも即答だった。
「ねえな。」
そんな話で、此処にいる5人が、コート対面の赤司と話し込んでいる黄瀬のことを、
なんとなく気の毒そうに眺めた。