短編(書く方)
□秘密電波
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秘密電波
不確定な関係ってあると思う。
君と私みたいに。
「おはよー。」
「おはよっ」
もう学校に来ているクラスメイトに対して挨拶をする。
そうすると、各々から返事が返ってくる。
ただ一人を除いて。
私は携帯をコッソリ開く。
学校で電源を入れるのは禁止されている。
朝とはいえ、いつ先生が来ても隠せるように、机の中に半ば突っ込んだ形で開くのだ。
■To:藤原基央
Sub:おはよう!
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おはよう位、返事欲しいん
だけど。
メールを送信すればすぐに返事が返ってくる。
■Sub:おはよう
From:藤原基央
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ごめん。
けど、ほとんど直接話した
ことないじゃん。
確かにそうかも。
でも話してみたいなぁといつも思う。
彼が友達と話しているところを見たりして、すごく興味を持った。
だからホントは直接話してみたい。
■To:藤原基央
Sub:non title
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カラオケ行かない?
親睦会♪
珍しくすぐに返事は帰ってこなかった。
悩んでるのかなと思うと、可愛らしい人に思えて少し笑えた。
■Sub:non title
From:藤原基央
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いいけど。
素っ気ない文面がまた可愛らしかった。
「おはよ。」
「…おぅ。」
「おぅ、じゃなくて。」
「お、はよう。」
飄々としたイメージだったのに、こんなにも可愛らしい。
悔しいなぁ、もう。
「カラオケよく行くの?」
「いや、あんまり。音斗葉は?」
「行くよ。一人でも行く。」
「一人!?」
結構、話しやすいかも。
「じゃあ、藤原からね。」
「え…うん。まぁいいけど。何がいい?」
「リクエスト有りって結構来てる人じゃん。
えっと…じゃあLet it be!!」
「渋い」
「なんでよー?だってこれ、パパが好きなんだもん。」
さて、お手並み拝見と行きましょうか。
唖然。
あんまり…ってそんな訳あるか!!って感じ。
「えっ、藤原うまっ!!
ヤダ。私歌いたくない!!」
「はぁ?」
「あ、なんで止めんの!歌って歌って!!」
ヤバい。
藤原にハマっちゃったかも。
「ちょ、お前歌えって。」
「ヤダ。」
「音斗葉が誘ったんだろ!」
「だって、こんな上手いなんて、聞いてない…」
「泣くなよ!」
感極まって、私は号泣していた。
「感動しちゃって…」
反則でしょ。
「…俺の唄、好き?」
「好き!!ひっくるめて大好き!!」
「ひっくるめて?」
「…バカ。」
「は!?」
1曲位歌ってやろうかな。
聖子ちゃん辺りの甘い歌を。
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「あ、すみません。延長で。はい。2時間で。はい。」
「え、…音斗葉も歌えよ。」
「んー…じゃあ聖子ちゃん。ちゃんと聴いててよ?ちゃんと。」
「おぅ。」
届けばいいんだけど。
「全然上手いじゃん。」
「ちゃんと聴いてた?」
「聴いてた聴いてた。音斗葉もちゃんと聴いとけよ?
知らなかったら、画面。画面しっかり見といて。」
「うん。」
入った曲は"片思い"。
ねぇ、うぬぼれてもいい?
―――――――――――――LINER*NOTES
私の友人でホントにメールだけで繋がってるという不可解な間柄の子が居ます。
ずっと知っているんだけど、メールでしか会話をしません。
何がきっかけでメルアド交換したのかも覚えていない、不思議な友達。
神秘的で私は大好きです。
友達もひっくるめて(笑)
めっせーじ/##ENQ1##