短編(書く方)
□48分の1
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こんな私を
簡単な女だと
笑うだろうか。
「ごめん…でも、気持ちはすごく嬉しい。
これからもいい友達でいてよ。」
「ぁ…うん…私こそ、なんかごめん。」
泣きたい!
私今すごく恥ずかしい!
私の人生で初めての告白(しかも場所まで考えて屋上なんて選んじゃった!)は失敗に終わった。
『Love運急上昇☆』だとか『気になる異性にアタックするチャンスだよ!』だとかいうふざけた占いを信用した私がバカだった!
星座占いも朝の血液型占いも最高に良かったのに!
彼が立ち去った後、どうにも動けなくて、多分こういうのを脱力と言うのだろうけど、私は座り込んだ。
紫色の夕焼け空はいつの間にか真っ暗になった。
仕方ない。
涙を拭いて立ち上がったら、ちょうど誰かにぶつかった。
辺りは暗くて一瞬誰だか分からなかったけれど、確かこの人は藤原先輩だ。
すごく歌が上手いって文化祭後から女子の急上昇ワードだ。
そう"急上昇☆"…
「もう下校の時間だよって…え!?ちょ…」
あぁもう。
折角閉じ込めた涙が出て来てしまった。
「ごめんなさい…なんでもないです。」
先輩の脇を通り抜けようとしたら手首を掴まれた。
「なんでもない…てこと、ないんじゃねぇの?
…というか、ごめん、聞いちゃったんだけど、」
…聞いちゃった?何を…
「えぇっ!?」
うわっ。嫌だ。恥ずかしい!!
折角閉じ込めたのに!
「悪気は無かったんだけどさ、立ち去るにも立ち去れなくて。
…あー!違う違う!」
なんだろ。何が言いたいんだろう。
「今の、10%ぐらい、嘘ついてる。」
「嘘?」
「確かに悪気は無かったんだけど、ちょっと気になってた。
…ホントはさ、フられればいいって思ってた。」
ヒドい!
この人…サラッと言った!
素直は必ずしも美徳じゃないんだな。
「取りあえず、聞いて。」
「はぁ…」
「えっと、だから…待って、今すげぇ緊張してるから。」
今更何を緊張するというのだろう。
サラッと酷いこと言っておいて。
「その、俺はおひつじ座で、O型で…」
あ、私と同じ。
「だから、今日はチャンスの日で、」
チャンス…またそれか。
「けど、占いなんて当たんねぇなって思ってて、」
そう。当たらないの。
「だけどちょっと今信じてて。フられたから…その、音斗葉さんが。」
はいはい。そうですね。
「俺ずっと音斗葉さんの事好きだったから。」
…え?
「だから、フられればいいって思った。」
「え、私?」
「そう。付き合って下さい。」
「でも私、先輩のこと何にも知らないです。」
「ゆっくりでいいよ。」
「だって私…そんな、こんなのズルイです。」
今、頭の中は先輩でいっぱいだ。
こんな私を簡単な女だと笑うだろうか。
「よろしくお願いします…」
すげぇ嬉しいと笑った顔に鼓動が高まり始めた。
さっきの夕焼け、先輩と見れたら良かったのに。
―――――――――――――LINER*NOTES
最近ちょっとしたスランプです。
上手くトキメけないのです。
変革の時期なのかもしれません。
いざ、新しい私を見つけに。
めっせーじ/##ENQ1##