短編(書く方)

□東京世界
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東京銀世界



りんごのほっぺ
きみのえがお




携帯を開いたらメールが来ていた。

その全てが雪だよ!といった内容で、俺はあぁどうりで底冷えするわけだと思った。

雪はわくわくする。
この感情を共有したいな、ライブしてぇな。
こういう時に誰かいたらもっとわくわくするのにな。
そこまで思って、自分が徐々に一人の人物に焦点を絞っていることに気づく。

あのコはこの雪を見てどう思っているんだろう。

カーテンを開けて、窓に額を付けると、ヒヤリとして少し濡れた。

「あれ。」


何だか大きな雪だるまが見える。
いや、あれは人で、雪だるまはあっちのだ、と気づくのに少し時間がかかった。

コートも着ずに部屋を飛び出す。
窓に吐息の名残だけが残っている。




「紅ちゃん?」

「あ、」

しんしんと振る雪に前髪が束になってしまっている。
頬を真っ赤にして白い吐息を纏いながら、いたずらっ子のように笑った。

「おもち。」

「…あ。」

しまった、手に持ったままだった。

「来ちゃいました。」

「来ちゃいましたか。」

えへへと言う。
俺は思わず綻んだ。




それからは何をするでもなくただ雪を浴びていた。
たまに雪合戦をしていたら


、小学生に笑われた。


「あー…この様子じゃ電車止まってますねぇ。
東京は軟弱ですから。」

「じゃあ帰んなきゃいいじゃん。」

「そうですねー」

「俺ンちとかどう?」

「素敵ですね。」

「光熱費だけ折半で。」

「家賃だって折半ですよー」

「いやいや…って、えっ?」

「えー?」

「え、いや、え?あれ、…えー?………、マジで?」

「マジですよ。」

えいっと投げられた雪玉が、見事にヒットして、俺はそのまま倒れ込んだ。

「だから、おもち食べましょう。」

雪の様に、溶けないで。
夢じゃないよね?



―――――――――――――LINER*NOTES
ごめんなさい。
久々の作品があまりにも抽象的ですね…

B‐PASS読んで思い付きました。

二人の関係も謎が深まる一方ですが、取りあえず、甘いんだってそんなお話。
めっせーじ/##ENQ1##


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