短編(書く方)

□SWEET DAYS !!
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SWEET DAYS !!



甘いシロップと
とろけるキャラメルと
甘さに甘やかされている





「はいはい、うちはお触り禁止ですんでねー」

先輩二人に挟まれてどうしたものかと固まっていたら、教室に入ってきたチャマさんがいつものふざけた調子でツッコミともボケともつかない助けを差しのべてくれた。

ケチーとかいう声が聞こえてくるけど、私はそそくさとチャマさんの方に移動する。

「なまえちゃんも嫌なら嫌って言っていいんだよ?」
「いや…あの」

嫌というか恥ずかしいというか。
でもまたこんなこと言うと墓穴を掘りそうで曖昧に笑う。

「可愛がってるだけだべ」
「おりぇね、お菓子持ってきてるよ」
「また、噛んでるし」

チャマさんはカラッと笑った。


始まりは入学前の春休みのことだった。


CDを返しに秀ちゃんの家に行ったら見慣れない靴が何足かあった。
そこで遠慮して帰ればいいのに、私はまだまだ中学生気分で、秀ちゃんの部屋まで行ったのだ。
小さい頃から出入りしていたら、いつしか自分の家のようになってしまった。
これもいけなかったのかもしれない。

『秀ちゃんの彼女?』
『えっ』
『違う違う。いとこ』
『ふーん』
『春から俺らと同じ学校。な?』
『マジで!?え、じゃあさじゃあさ、一緒に大富豪やってかない?』

チャマさんの笑顔に騙されなきゃきっとそれ以降関わりは無かっただろうに。


おかげで学校でも会う度に挨拶してくれるし、放課後わざわざ迎えにまで来てくれる。
受験生って暇なんだろうか。

「なまえちゃんいる?」
「あ、居ますよー。なまえー!“お迎え”ー!」
「声が大きいよっ!」

持って帰るものを適当にカバンに放り込んで教室を出たら、藤原先輩がそれを持とうとしてくれる。

「いや!!大丈夫ですからっ!!」

毎日こんな調子で、4人全員の時もあれば1人の時もある。
少なくとも藤原先輩か増川先輩がいて、時折誰も来れないときはこの2人が物凄く申し訳なさそうな顔で謝る。

「そういえば、俺ら超有名なの知ってる?」

そりゃそうだ、と思ったけど口にはしない。
私も聞いたことがある。
“先輩を手玉にとってる1年がいる”
どっちかっていうと、手玉に取られてるんですけど。
今だって両脇はがっちりガードされてるし。

「だってなまえちゃんちっちゃくて可愛いかりゃ…」
「ちっちゃいんじゃなくて、先輩達が高いんです!」
「いやぁホント、可愛い。ホントに」
「ちょっ」

また藤原先輩が抱きついてくる。校内でこんな調子だから、変な噂がたつんだ…

「でさぁ、今週のジャンプ、ワンピース無かったから俺ホントに悲しくって」
「あれでしょ、取材。ワンピースって何の取材してっか気にならない?」

また今日も先輩達に挟まれてる。
今日は秀ちゃんのおうちで。
チャマさんが買ったゲームをプレイするとかで、私は半ば強制的に召集をかけられた。


***
私がソファに座っていた所、藤原先輩が隣に座って、肩に手を回されたなーと思ったら反対側にポテチを抱えた増川先輩もやって来て、寄りかかられている。

この状態を見た秀ちゃんが「逆ハー!」とドヤ顔で言ったのが記憶に新しい。
秀ちゃんの口から逆ハーとか聞きたくなかったよ…

「なまえちゃんもやる?」
「私、ゲームとかやったこと無くて…」
「じゃあ、手取り足取り教えてあげようか?」
「えっ」
「コラコラコラ。人ん家だべ」

何処にいてもいつもの調子で、違うことていえば、みんなが私服ってことだ。
おかげで、藤原先輩のカーディガンが柔らかくてウトウトしてきた。
陽光も柔らかくて瞼が重力に逆らえなくなってきた。

(あー眠い…)

理性は眠さにあっさり負けてしまった。
二人に挟まれていることなんてどうでも良くなっちゃってそのまま目を閉じた。
それは先輩達も同じだったみたいだ。

「次、ヒロの番…ってちょっ、寝てるし!」
「子供か」
「…写メ写メ」
「後で売れますよ、旦那」
「お主も悪よのう」

家に帰ったあとチャマさんから写メが届いて私は酷く慌てるのだけど、今はまだ未来のはなし。

―――――――――――――LINER*NOTES
まこと様よりキリ番でリクエストしていただいた「甘甘夢」を加筆修正いたしました。
少女マンガちっくですね。

(イケメンな)お兄ちゃんにお迎えにきてもらったりしたいなー!と思いながら書いた覚えがあります笑

めっせーじ


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