堀鐔の日常。

♥3
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「思い出なんていらないよ  だって今強く深く愛してるから
思い出浸る 大人のような甘美な贅沢
まだちょっと…遠慮したいの ♪」

いつもの帰り道。

今日は神威も昴流もサクラも部活だから、一緒に帰る人がいないけど。

1人も結構楽しかったりする。

こうやって歌の歌詞を覚える練習したり。

某軽音部のアニソンも結構好きだし。

「次は何にしようかな……」

「なまえさん!」

背後からいきなり名前を呼ばれて、反射的に返事してしまった。

「はいいいっ!!?」

「ほええ!?」

声の主を知ろうと後ろを振り返ると、ちょこんと2人の女の子が。

「あ、桜ちゃんに知世ちゃん」

「驚かしてすみません、そんなつもりはなかったんですの」

私の過剰反応に驚いた桜ちゃんと、申し訳なさそうにする知世ちゃん。

謝ってきたけど、はっと首を横に振る。

「いいよいいよ、私がぼーっとしてただけだし。今帰り?」

「はい」   「そうなんですの」

2人を見ると、きゅっと手を繋いでいる。

昔なら昴流と神威と私で手を繋いでいつも一緒に居たけど、
サクラとは手を繋いで歩くのは少ないな、と思い、微笑ましい2人が羨ましくなった。

「仲いいね、二人とも」

「「はい」」

にっこりと笑いあって答えるサクラちゃんと知世ちゃん。

うーん、私にはもうなくなった(あったかは知らないけど)純情の眩しさというやつか。

「なまえさんもサクラお姉ちゃんと仲良しですよね」

「うん、けど手を繋いで歩くのは少ないかな」

「そうなんですか」

「そう。というか、サクラに限らず誰かと手を繋ぐ事も少なくなったかも」

「そうなんですの?」

まぁ、と少し心配した様子の知世ちゃん達に苦笑する。

「ま、桜ちゃんたちはそんな風にならずに、いつまでも仲良く一緒に居られるといいね」

「はい!」   「大丈夫ですわ」

「「絶対 だいじょうぶ だもん!(ですもの)」」

満面の笑みでいつまでも仲良しでいる宣言をした二人に、つられて私も笑った。

「そっか、よかった。
あ、そういえば桜ちゃんのお兄さんって、木之本桃矢さん?」

いきなり話が変わって自分の兄の名前が出た事に驚き気味の桜ちゃん。

「はい、お兄ちゃんがどうかしたんですか?」

「あ、具合が悪いとかじゃなくて、届け物頼まれたからちゃんと届けましたよ、
って報告するの忘れちゃってて」

「そうなんですか」

「そう」

「どなたにお届け物をなさったんですの?」

「おっきい方のサクラ」

「あ!もしかしてお兄ちゃんがこの間言ってた[髪の長いサクラの同級生]って…」

「なまえさんの事ですわね」

「……一応、名前聞かれて名乗ったんだけどなぁ…」

木之本先輩、聞いておいて忘れないでください。
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