鬼道さんと女子高生book
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カチカチとスライド式の携帯のボタンを操作しブログを更新する。
「んー、元中の子を遊ぶって事でいっか」
今から援助交際をやる、って事がばれないように一応カモフラージュ。
ブログになにかしら別の事書いとけば大丈夫でしょ。友達は大体あたしのブログ見るし。
「……」
ただ意気込んでここ、援助交際スポットに来て、更にはブログでカモフラージュはしたはいいものの……。
さっきからターゲットであるおじさん達はあたしの事を見ようともしない。
それどころか私がここに存在していないかのように前を通り過ぎて行く。
これじゃあ意気込んだ意味ないじゃんか。そう思いブレザーのポケットから飴を取り出し口に放り込んだ時だった。
「お前……」
頭の上から聞こえてくる低い声。明らかに大人の声。
「!!」
テンションがマックスに近くなったのはこの時で待ってましたとばかりに携帯の画面から目を離す。
いよいよ人生初のあたしの援助交際が始まるんだ!と思いその声の主の顔を見た、が……
「え?」
おじさんとは言い難い、むしろお兄さんと言った方がいいのかもしれない。
これは絶対に20代前半だ。あれ?でも援助交際っておじさんが多いんじゃ?
もしかしたら今回は例外って事だろうか?
そしてそんな事はまるでどうでも良くなってしまいそうな位破壊力が強すぎる髪型と緑のサングラスの印象。
「援助交際、か?」
「そ、そうでーす! じゃあ早速ホテル行く感じでいいっすか?」
先程までいじっていた携帯をポケットに突っ込みそのおじさん……いやお兄さんにそう言えば何故か眉間にシワ。
あたしなにか悪い事でも言った?いきなりホテルはやばかった?と疑問に思いながら首を少しかしげる。
そうすればまたもや眉間にシワ。そして今度はそれにプラスされて口が開いた。
「はあ、通りで誰にも拾われない訳か」
「は?」
予想外の言葉に、思わず出てしまったいつもの口癖。
やばいやばいと気を取り直してもう一度聞き返してみる。
「あのー、どうゆー事でおられるんでしょうか?」
日本語がおかしいのは自分でも十分に理解してる。
ただおかしい日本語を話すのが今のあたしの精一杯の努力。