Love at first sight.
□冷たい雨が降った日に
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・伊吹視点
もう何時間こうしてしゃがんでるんだろう。
「……っ………ぅ…」
もう亡くなってる犬の傍らで、あたしは固くなってしまった体を撫でながら泣いていた。
ぽたぽたとクリーム色の体に涙が落ちる。
服の袖で目を擦って鼻を啜った。
…もういい加減にしないと。
そう思い立ち上がった。
ずっとしゃがんでいたから、膝が痛い。
「……もういいの?」
「……………うん。大丈夫。」
家に入ると、お母さんが心配そうに声をかけてきた。
「…じゃあ火葬場に行ってくるね。学校は休む?」
「…ううん、行くよ。」
本当は休みたい…
でも詩音に『多分、4限目には間に合う』ってメール送ったから行かないと。
腫れぼったい目を少し冷やして、すぐに制服に着替えて家を出た。
「…やな天気。」
外は冷たい雨が降っていた。
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