Love at first sight.


□冷たい雨が降った日に
3ページ/7ページ

・伊吹視点



もう何時間こうしてしゃがんでるんだろう。






「……っ………ぅ…」



もう亡くなってる犬の傍らで、あたしは固くなってしまった体を撫でながら泣いていた。

ぽたぽたとクリーム色の体に涙が落ちる。

服の袖で目を擦って鼻を啜った。


…もういい加減にしないと。

そう思い立ち上がった。
ずっとしゃがんでいたから、膝が痛い。






「……もういいの?」

「……………うん。大丈夫。」



家に入ると、お母さんが心配そうに声をかけてきた。



「…じゃあ火葬場に行ってくるね。学校は休む?」

「…ううん、行くよ。」



本当は休みたい…
でも詩音に『多分、4限目には間に合う』ってメール送ったから行かないと。


腫れぼったい目を少し冷やして、すぐに制服に着替えて家を出た。



「…やな天気。」







外は冷たい雨が降っていた。




次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ