Love at first sight.
□幸村先輩の好きな人。
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[体育祭3日前]
俺は田宮 柚(たみや ゆう)だ。
ゆずじゃないし、女でもない。
立海大附属中の1年で男子テニス部に所属している。
…そしていきなりだが、俺は幸村先輩を尊敬している。
圧倒的な強さ、完璧なテニス…俺の憧れの人だ。
もちろん幸村先輩だけでなく、柳先輩のデータ収集力、真田先輩の真正面から挑む強さも尊敬している。
まぁつまり俺は三強を尊敬しているということだ。
その中でも幸村先輩は別格だが。
…だから俺としては、幸村先輩が付き合う女の人は同じように完璧な人がいい。
小顔、長くて綺麗な黒髪、スラリとした背、細く華奢な体、白い肌、おしとやかな雰囲気、才色兼備、眉目秀麗……等々。
だから当然、
「うわあああっ柚っ、フラレちゃったよー!!!」
「おめでとう。」
「…………」
俺の姉も論外だ。
「は?アンタ何言ってるワケ?」
「おめでとう。」
「話聞いてた?」
「もちろん。フラレておめでとう。」
「……うっざ、女みたいな名前のくせに。」
「……は、自分はナツミカンの中途半端な名前のくせに。」
「「…………」」
ああ、気にしないでほしい。
挨拶みたいなものだ。
「あーあ…分かってたけどさぁ、やっぱショックー」
「…ふぅん、」
この切り替えの早さだけは認めることができるのは、俺の姉だ。
田宮 夏実(たみや なつみ)
立海大附属中の2年だ。
『柚っ!柚っ!』
『なに姉ちゃん。』
『テニス部の2年に幸村っているでしょ!?』
『ああ、幸村先輩…』
『あたし幸村のこと好きになっちゃった!!』
『え、』
あのとき俺達はやっぱり姉弟だな、と思った。
「…それにしても、あの断り方はなー…好きな人がいる感じだったなぁ。」
「!本当!?」
「うん、女の勘だけど…よっし、明日からストーキングしよ。」
「…………」
身内がこんなことを言い出したら、普通は止めるんだろうな…
「…ま、頑張れば?」
だけど俺も気になるから止めないでおこう。
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