Love at first sight.
□13日の金曜日
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★オープニング
それは、立海大附属中で最近話されている怪談の一つ。
『何故か、13日の金曜日がある月には、学校内で11日・12日・13日と3日間連続で幽霊がでるらしい―…』
11日には、呪文のようなものをぶつぶつと呟いている幽霊。
12日には、奇声を発しながら何かを振り回してくる幽霊。
13日に出てくる幽霊については…誰も覚えてない。
いや、誰も言おうとしないのだ。
「……らしい。」
「ちょっ柚! やめろよそんな話ーっ!!」
「はぁ? 赤也が何かおもしろい話しろって言ったんだろ?」
「おもしろい話がどーやったら怖い話になるんだよっ!?」
「え、だっておもしろいし。」
「柚うううっ!?」
赤也と柚は裏口の掃除をしながら、最近噂になっている怪談の話をしていた。
赤也は早くも顔を青くして震えている。
「それ本当かよ?」
「本当だよー」
「まじっ…って伊吹先輩!?」
後ろを振り向くと、これから部活に行くところなのか、胴着と袴を着ている伊吹が立っていた。
「やっぱり1年生にも広まってるんだ!」
「伊吹先輩の学年もっスか?」
「うん。」
「…そういえば姉ちゃんも言ってたな。」
「去年はそんな噂はなかったんだけどね? なんか今年から急に…」
「へえ…」
「なんでっスか!?」
「さー?知らないなぁ…」
「調べません?」
「「……………ん?」」
「怪談、俺たちで調べません?」
「「………ええっ!!?」」
「だって今年から広まるっておかしいじゃないですか。
それにほら、今日って11日だし、2日後は13日の金曜日だし。」
「柚…本気かよ?」
「本気だ。」
「あーっと…゙俺たぢってあたしも入ってる?」
「伊吹先輩は嫌だったら無理しないでください。」
「俺は!?」
「赤也は強制。」
「まじかああっ!?」
伊吹は口に手を当てて考えている。
数秒後、どうするか決めたのか、少し顔を緩めながら口を開いた。
「あたしも行こっかなぁ。」
「「本当っスか(ですか)!?」」
「うん。なんか面白そうだし、行ってみたい。」
「じゃあ行きましょう!」
「俺が守るっス!」
「え、でもホウキ一本があったら平気だよ。」
「「ホウキ…?」」
「振り回すから!」
「「剣道部!」」
その後3人は、何時に学校へ入るか、どんな服装をしてくるか…などを話し合った。
結局服装は制服ではなく『動きやすくて黒っぽい服』。
学校へ入る時間は、遅かったら明日の朝練に影響するため(赤也と柚が)『21時〜22時』となった。
「…それじゃあ、30分前に集合で。」
「おー!」
「え、なんでだよ柚? 21時でよくね?」
「お前絶対遅れるだろ。」
「うっ……」
「親には言わないよね?」
「言いません。」
「言わないっス!」
「だよね。…じゃあ智哉に何か言われたら誤魔化してって頼んどこう。」
「あ、双子のお兄さんですか?」
「うん。」
「俺も姉ちゃんに頼んどこっと。」
「…俺も姉ちゃんに一応頼んでおくか…」
「よし! じゃあね、2人とも急ぎなよ!」
「「はい!……ん?」」
時計を見ると、部活が始まる時間まであと15分だった。
「やべえっ!!」
「っ赤也はホウキ片付けとけ! 俺は教室行って荷物とってくる!!」
「お、おう!!」
あわただしく2人は走っていった。
今日から3日間、恐ろしい思いをするのも知らずに―…
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