立海大附属


□ルピナス
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・ルピナス


※『リナリア』番外編
 仁王視点




それは昼寝をするにはぴったりの、ある日の昼休みのことじゃった。







「似てるって。」

「似てないよ。」

「似てるよ、ほら見てよ!」

「似てない。見なくてもわかるし。」

「えー!? 似てるじゃん!」

「似てない全然似てない。」

「ちょっとは似てるでしょ?」

「何言ってんの? 正反対だろ?」

「正反対まではいかないと思う…」

お前頭おかしいんじゃない?病院行きなよ。」

「なっ…!? 幸村のばか!!」

「バカなのはなまえだろ。」

なにぃぃぃ!?


「ちょ、ちょい…落ちつきんしゃい。」







屋上で昼寝でもするかのぅ、と思って教室を出ると、C組の前の廊下でなまえと幸村が言い合いをしとった。

最初はただの痴話喧嘩かと思ったんじゃが、エスカレートしだしたから慌てて止めた。






「…で、どーしたんじゃ?」

「聞いてよ仁王〜…」







なまえはポケットからケータイを取り出すと、そこに付けとる2つのキーホルダーを見せてきた。

1つはあの告白のときの『リナリア』
もう1つは…見覚えないのぅ。

裏返してみると『ルピナス』って書かれとった。


なんでも昨日幸村と買いに行ったらしい。







「…なんじゃお前さんら…仲良いの。」

「話は最後まで聞いてよ! そしたらさ、幸村似てないって言うんだよ!?」

「は?似てないって…」





この花のことかの。
…確かにそっくりじゃないが結構似とると思うナリ。

俺は思ったままのことをなまえに言うことにした。






「俺のペテンほどじゃないが結構似とると思うぜよ。」

ペテンにペテン語られても。ほらーっ!!」

「ペテンは関係ないだろ。」

ペテン師がペテンになっとんのはスルーすんのか。







あーもー嫌じゃ。
はよ屋上で昼寝したい。

寝転がって空に慰めてもらいたい。


そう思って幸村たちの横をすり抜けようとしたが、2人の喧嘩は俺の一言で悪化してしまったようじゃった。

……ああ屋上が遠のく…







「だから全然似てないって。」

「ちょっとは似てるからっ!……もう幸村知らない!! あほっ!!」

バカバ。

「か…? っ、ばかぁぁぁっ!!

「お、おーいなまえ…」

「ふん。」

「お、おーい幸村…」







幸村となまえはお互いに背を向けると、反対方向に歩き出した。


おぉ…これは……









「あれ…仁王まだ屋上行ってなかったのかよぃ?」

「ブーちゃん…」

「誰がブーちゃんだっ!!」

「これは完璧……俺のせいじゃのー…はぁ…」

「どーしたんだよ?」

「めんどいがしょーがないのぅ…俺ちょっと行ってくるぜよ。」

「ん、逝くなよ。








ブンちゃんの言葉に苦笑しつつ俺は歩き出した。
じゃがその約束を守れるかどうか…微妙なとこじゃ。

なんせ今俺が向かっとるのは、幸村が歩いてった中庭なんじゃから。




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