四天宝寺


□落書き
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・落書き



それはゴールデンウィークが近づいてきたある日の出来事。






昼休み、俺はいつものように3年2組に向かった。

そんで真っ先に目に写ったんは俺の彼女の…


「…っ……ぅぅ〜………」


机に突っ伏してなんやうなっとる姿やった。



「…なまえ先輩、どないしたんですか?」

「光……光が…消されて…」

「は?」

「なまえ、そんな説明じゃわけわからんで?」

「意味わからんっちゅーねん!!」

「部長、謙也さん…何があったんです?」

「それがなあ…」

「俺らにもわからへんのや…
なんやさっきいきなり『光が消された!』叫びだしてなあ…」

「なんですかそれ…」



なんや変な夢でも見たんやろか?
でも消されたって…



「アタシなんでなまえちゃんがこんな落ち込んどるんかわかったわあ〜」

「小春先輩?」

「小春ちゃ〜ん!!」

「!?」



ガバッと起き上がったと思ったらいきなり小春先輩に抱きついた。



「小春ちゃん〜光が消されたのー!!!」

「ホンマやねぇ、いつ消されたん?」

「多分移動教室のときに…」

「「「???」」」



ちょ、ホンマ意味わからへん。



「なまえ先輩、どういうことっすか?」

「…………消されたの。」

「何を?」

「光の落書き。」

「…落書き?」



なまえ先輩はぽつりぽつりと話し始めた。



昨日の古典の授業中、机に俺と立海の丸井の落書きを書いとった。
(なんで立海のやつを書くんや)


それがごっつ上手く書けたから、消さんと残しとったらしい。


せやけど移動教室から帰ってきたら、いつの間にか消されとった……





「すっごい上手く書けたんだよ…なのに消されたのー…」

「なんで消されたんやろなあ?」

「そら、邪魔やからやないか?」

「でも普通無断で消す!?消さないよっ!!」



腕をぶんぶん振り回して怒っとる。
…ちゅーかはよ離れろや。
いつまで小春先輩に抱きついとんねん。



「光〜?顔怖いで〜??」

「……わかっとんのやったら、はよ離れてください。」

「はいはい。カワイイわねぇ。」

「なんや財前、やきもち妬いとんのか!?」

「謙也さん死ねばええのに。」

「なんやと!!?」

「そこまでにしときや。…なまえ、今からその落書き書いてくれへん?気になってしゃーないわ。」




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