四天宝寺
□落書き
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「うん、わかった。」
そう言うとなまえ先輩はルーズリーフに書き始めた。
「小春ちゃんでしょ〜…謙也でしょ〜…白石でしょ〜……光っと。」
結構上手く書けたかも!と言いながら紙を渡してきた。
……むっちゃゆるキャラやん。
かわええけど。
「この光かわいいでしょ?でもねー…机の落書きのほうがかわいく書けたなぁ…」
「せやねぇ、あっちのほうがカワイかったわねぇ。」
「いやいや!!でもこれむっちゃかわええやん!!!」
「んー!!絶頂やで!!」
「……………」
「なんや財前?何紙おっとんねん!?」
「ひか…ってあああああああああー!!?」
俺は落書きした紙を折って、窓から投げた。
「ちょっ…光なんで投げんの!?」
「別にえーやん。」
まだ驚いとるなまえ先輩の頬に手を当てて、キスするぐらいまで顔を近づけた。
すぐに真っ赤になる。
「え……光?」
「本物のほうがかっこええやろ?」
「は?」
「落書き消されても、本物がおるんやからええやん。」
「…………………なるほどっ」
納得したようにこくこく頷く。
「光慰めてくれたんだね!」
「……………」
「でもあの紙は拾ってきて!」
「……………」
ちゃうし。
全然理解してへんやん。
はあ、と俺はため息をついた。
「…なんで落書きにこだわるんです?」
「だって、授業中も光と一緒にいる気分になれるじゃん。」
落書き最強ー!!と叫びだした。
確かに最強やわ…なまえ先輩は。
「…ほな、俺も机になまえ先輩の落書きしますわ。」
「ほんと?」
「ホンマです。じゃ、紙取りに行きますわ。」
「あたしも行くー」
人の言うこと聞かへんし 理解もせえへんし、言っとることは無茶苦茶や。
せやけど、そこが愛しい。
「……やっぱ好きっすわ。」
「落書きが?」
「……………」
…やっぱちょっとは理解してほしいわ……
終わり
→あとがき