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□プロポーズ
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プロポーズ

 いつもの帰り道。いつも俺の隣には笑顔で俺の名前を呼んでくれる君がいるのに、今日はいない。
珍しく君は焦った顔で、用事があるからと駆け足で教室を飛び出していった。もちろん山本は部活だから、今日は久し振りの1人での下校になった。
「リボーンが来てから何かと騒々しかったけど、いないとなるとちょっと寂しい俺って、どうなの?」
 俺は苦笑いしながら家路へと急いだ。
「そういえば、獄寺君何をあんなに焦っていたんだろう?何か見たいテレビでもあったのかな?」
 そんなことが考えているうちに家の近くまで来たときに人影が見えた。
俺より背が高くて、銀髪で、口には煙草を咥えていて……。
「獄寺君!?」
「あ、10代目、おかえりなさいませ!」
「あれ、先に帰ったんじゃなかったの?」
「あ〜、実は…」
 獄寺君がポケットから、シルバーの指輪を出してきたかと思うと、俺の手を取り左手の人指し指にはめてきた。
「うん、ぴったりですね」
「これ…は……?」
「あ、俺が10代目のイメージで作りました。ここにはボンゴレの指輪がはめられるから、その隣に同じような主張があるものをと思い作りました」
 獄寺君はいつもの笑顔で俺にそういうと、ゆっくりと背中に手をまわし引き寄せてきたかと思うと抱きしめられた。
「今日、一緒に下校できなくてすみません。どうしても、この指輪の完成を確認してからあなたにお渡ししたかったので……」
「ううん、ありがとう。獄寺君」
「でも、今度は……」
 俺の左手を取ると、薬指に獄寺君の唇が触れてきて―。
「この指に見合う指輪を作ってきます」
「…………っ」
 髪の毛と同じ銀色の瞳が俺を映すように見つめてきて、俺はそんな瞳から目が離せないでいると、ゆっくりと唇を重なってきた。
「その時は、俺のプロポーズ楽しみにしていて下さいね?」
「……うん、待ってる♪」


END

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