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□扇風機
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扇風機

今日の温度は35℃越え。
夏真っ盛りの並盛は、蒸し風呂状態だった。
「あ゛〜っ……」
「……10代目?」
「あ゛つ゛い゛〜っ……」
 宿題を終えて、一段落着いた綱吉が扇風機の前で暑さを凌いでいる姿を、獄寺は笑みを浮かべながら教科書やノートをしまっていた。
「俺の部屋にもクーラーが欲しいなぁ」
 風の風量で綱吉の茶色の髪の毛がふるふると揺れながら、首筋には汗が流れているなか獄寺はその姿をじっと見つめていた。
「獄寺君の家には、クーラーある?」
「あ、はい。引っ越したときに、ついていました」
「いいなぁ……」
 綱吉は口を尖らせながら扇風機にしがみつき「クーラー、いいなぁ…」と呟きながら、その場に寝転んだ。
「獄寺くぅ〜ん…」
 獄寺から見ると、机の上から手招きをする綱吉のしぐさを見て、よちよち歩きをしながら綱吉の元へと行くと綱吉は上目遣いで、獄寺が来るのを持っていた。
(う、可愛い……)
 そんな姿を見た獄寺は、綱吉の頭部付近で頬を染めながら正座をし始めた。
「……獄寺君、俺を涼しくして?」
「ふぇ、涼しくですか?」
「うん、涼しくして?」
(そんな!甘えた声で、「して」なんてぇっ!!)
 獄寺は1人で興奮しているなかで、綱吉は獄寺がどんな行動をするのか静かに見ていた。
「ぁ、あの、10代目…」
「ぅん?」
「し、失礼します!」
 ふと、獄寺の姿が視界から消えた瞬間、彼の唇が綱吉の額に触れていた。数秒たったときに、彼の顔は真っ赤になっていて綱吉は我慢できずに、彼に見えないように笑い始めた。
「なんで笑うんスか、10代目〜」
「っ…ごめっ…なんか、可笑しくて……っ」
「ぅ〜…」
 綱吉はむくりと起き上がると、獄寺の方に体を向けると笑みを浮かべ―。
「でも、これじゃ逆に熱くなっちゃうなぁ」
「…すみません…」
「この責任はどうしてくれる?」
「……おれは、もちろん10代目の仰せのままに」
 自然と重なり合うと、2人は離れることなく熱を高めていったことに、扇風機は負けじと風を送り続けていたとさ。

END

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