本棚

□Gravidanza?
1ページ/8ページ

「……あれ?」
 おかしいな、と綱吉は教室のカレンダーを見て首を傾げた。
「どうかしたの?沢田」
「んー…来てないなーと思って…アレが」
「あぁ…何日くらい?」
「一週間、かな…?」
 初潮を迎えて以来、一日二日前後することはままあれど、ほぼ四週間周期で「お腹が痛い」と唸っていたのが嘘のようだ。遅れることが初めてで少し不安がる綱吉。
「私もよく遅れるから、あんまり気にしない方がいいと思うよ?」
「一週間とか遅れたりする?」
「するするー。気にしたらそれでまた遅れちゃいそうで嫌だから、あんまり考えないようにしてるの♪」
 ふわりと笑って京子が言った言葉に安心する綱吉だが、花は横から一つ言う。
「ストレスってのもあるかもよ?勉強とか、周囲のこととか」
「ストレス…」
 綱吉は勉強も体育も嫌いだ。裁縫や日曜大工のような作業も得意ではない。学校で行われる授業にさしたる魅力を感じないのもストレスの一つかもしれない。もう一つ、周囲のことを考えてみると、何かと騒がしい子供たちや、物騒な食べ物を作ってくれるお姉さんが居るというのは、十分なストレスにも感じられる。原因が数個見つかり、綱吉は内心頭を抱えた。

 そして。
「何だ何だ、暗いぞー?」
 近寄ってきたのは山本だ。綱吉が口篭っていると、花があっさりと言う。
「沢田の生理が遅れてるから、原因究明中」
「へー」
「って、よく平然としてられるね、山本…」
「だって、人間だし女だし。なら仕方なくね?」
「確かにね……」
 それがあるのは人として自然な事なのに、自然に振る舞えないのは、ちょっと悲しいかな。と綱吉は思うのだった。

 
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ