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□ちょっとおめかししてみたら
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 獄寺君が連れて来てくれたのは、白を基調とした、まるで南国のリゾートホテルの様な(行ったことないから想像でしかないんだけれど)明るくて綺麗な所だった。もっとけばけばしいものを想像していたオレは少し驚いたけれど、この部屋をすぐさま気に入った。
 外でのことを一瞬忘れていたら背後からきつく抱き締められる。あれ?機嫌悪くしたかな。謝ろうと思って名前を呼ぶと、
「ここ、気に入っていただけました?」
 またも耳元で囁かれ、それだけで腰が砕けそうになる。
「気に入ったよ。当たり前でしょ?」
「それは良かったです」
 耳を甘噛みされて大袈裟なまでにびくつくオレに、彼は興奮するらしい。ベッドに到着する間もなく壁に押し付けられ、オレの首に熱い舌を這わせた。
「っ……ベッド、行かないの…?」
「勿論行きますよ。この体勢、お辛いでしょう?」
「んっ…言ってることとやってること違…あ、あ……」
 言うのも聞かずに、反対側の首筋を舐めながら、オレの上着の前を寛げる。
「ね…獄寺君…」
「はい」
「早く、脱がせて……?」
 息を呑んだのがわかった。「畏まりました」の言葉の後に上着を床に落とし、続いてオーバーオールも足元に落ちて、あっという間に下着が晒される。幸い、部屋の中だから寒くはないけれど。
 オレの今の姿を見た途端、急に何も言わなくなった彼を呼ぶと「ベッドに行きましょうか」って。そんなの今頃言う?散々いつも以上に野性児だったくせに。
「オレ、ちょっとした衝撃で壊れるほど弱くないよ」
「ですが……体を痛めてしまいますよ」
「ここで一回するぐらいでそんなこと絶対ないってば」
 遠慮しないで?少し乱暴にされたくらいで、君のこと嫌いになったりしないから。

「たまには……10代目とか右腕とか、忘れてみてよ」

 お願いの意味を込めたキスをすると、たがが外れたのか、そのまま舌を差し込まれる。ああもう、やらしいなあ……。けど、獄寺君がこんなにがっつくことは滅多に無い。何だか嬉しくて、綺麗な銀髪を指で遊んだ。

† † †

 鎖骨までたくし上げられた、ニットのセーターとホックを外されたブラ。何だか美味しそうに、露わになったオレの胸を吸ったり揉んだりする獄寺君。それを見て、興奮しない方がどうかしてる、とオレは思うわけで。それでも、口から漏れる声は何とか抑えたい。だって恥ずかしいからさ。
「……沢田さん」
「な、に…っ…?」
「外には声が響きませんから…聞かせてください。貴女の、可愛らしいお声…」
 この人は、オレの声がとても好きだ。まあ…オレもこの人の声、好きだけど。
「……本当に…聞こえない…?」
「ここは、こういうことしたさに来てる奴らが多いわけですし、万一聞こえたとしても煽るだけですよ」
 聞こえること自体が嫌なんだよ……と小声で抗議したところで聞き入れてはくれなくて、愛撫は一層強くなる。いつもは困るところだけれど、やっぱり今日は、この感じがやけに嬉しい。
「あっ、あ…獄寺君…獄寺君……っ」
 ちゅっと音を立てて吸い付かれながら、膝でオレの両脚を開く。下着の上からそこをなぞられて、オレは身を固くした。
「あっ…!は……」
「はは…感じたんですか?強引なオレに」
「ん……うん…」
 もっと強引でもイイかな、って思うよ。そんな君も見たい。そう思ったのに気付いたのか、そこを集中的に攻め立てる。布が擦れて、オレのそこは更に濡れた。
「あぁ…あっ…や……」
「嫌?」
「やだ……っ、直接、が…いいっ…」
 強引な彼を見たい、と思うオレも、今日は随分やらしいみたいだ。こういうことを恥ずかしげもなく言えるとこ、もしかしたら、君に影響されてるのかもしれないね。
 首元にしがみついて訴えたオレに、彼はまた「畏まりました」と告げて、下着の中に手を入れてそこに指を侵入させてきた。
「っひぁ!」
「うわ…すげえ熱い…。沢田さんのココ、オレの指を何の抵抗もなく飲み込みましたよ。しかも二本も」
「ん…だって…何かすごい…気持ち良い、の…っあ、あぁんっ!」
 目を閉じると意識が全部そこに行って、獄寺君の指の動きがとてもよくわかる。触られている所は勿論、見た目とか音とかで色んな所が刺激されて堪らなくなったオレは、彼の指を更に欲しがって無意識のうちに腰をくねらせた。そんなオレの行動に気付いた獄寺君はくすくすと笑う。
「物足りなさそうですけど…もっと激しくしましょうか?」
「……うん」

† † † † †

 物凄く従順なオレを見た彼に「沢田さんは本当、可愛いですね」と頬擦りされた。その間もオレを翻弄してくる指と嫌らしい音で、口からは悲鳴のような喘ぎ声が絶えず溢れてくる。
「ひ、あっ!はぁっ、あぁんっ!」
「立てないなら力抜いてくださって構いませんからね」
 そっと腰に手が宛がわれ、上下に動く指がもう一本増える。足から力が抜けて、もう自分の力で立ってはいなかった。
「あっ、あっ…あ…獄寺く…ダメ…」
「ダメなんですか?」
「違…あ…イきそ…っ」
 一層指が速く動く。震える手で抱き着いて、もうダメかも、と思った矢先、指が、抜かれた。
「あっ…や…だ……」
「すみません。でも、オレも気持ち良くなりたいんで」
 ベルトを緩め、ズボンを寛げながらオレの唇に口付ける。絡まってくる舌を受け止めて今更「あ、獄寺君に口紅付いちゃう」なんて考えた。

 入り込んできた獄寺君は凄く熱くて、高ぶっていたオレはそれだけでイくかと思った。
 ゆるゆると突き上げられ、その度に声が出る。脱げかけの服や、抱え上げられた右足に見える穿いたままの靴下が、何だかやらしさを倍増させる。
「あっ!あっ!あぁ、獄寺君…獄寺君っ」
「ん…っ…すげ、気持ち良い……っ」
 そしてその声と無意識にオレが生み出す彼への刺激に、いつもより少し強引な獄寺君が笑う。それだけでオレはとても幸せになって、どんどん高ぶるんだ。
「あぁっ…は…獄寺く、ん…も…ダメ……ダメぇ…っ…」
「はい…オレも、そろそろ……っ」
 深く深く繋がって、オレも彼も達した。

† † † † †

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