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□これは恋?
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辺りが少し暗くなっていた一月の事。
今日は珍しく雪が多く降った。俺が息を吐くと白い息が空に舞う。
10代目と野球馬鹿と別れた後、俺は1人家の方へと向かっていた。
いつも以上に寒くて早く帰りたかった俺は小走りで家へと向かっていた。その途中で微かだが、小さな声が耳に入った。
「……ぁ……にゃ……ぁ」
「……猫?」
微かな声を猫だと判断した俺は辺りを見渡し、一つのダンボールが目に入りその前でしゃがみ込み中を開けると、全身茶色の子猫が震えながら弱く鳴いていた。俺はすぐに捨て猫だと判断し、体が勝手にその子猫を持ち上げ自分の胸元に抱え入れ家へとダッシュで走って帰った。


家についた俺はすぐさまタオルを何枚か手に取り、暖房機のスイッチを入れそこに座り込んだ。
「みぃ……ぁ…」
「待ってろなぁ…すぐ暖かくなるからな」
俺はタオルで子猫を包みながら、濡れた部分をゴシゴシと拭き始めた。子猫はゴロゴロと喉を鳴らしながら俺の膝の上を転げ回っていた。
「ほら…暴れるなって!」
暖房機が暖かい風を送ってくると、子猫の体の毛はふかふかになり俺は台所へ向かい平らな皿に牛乳を流しいれた。それを子猫の所まで持っていき床に置くと子猫はお腹が空いていたのか牛乳を飲み始めた。
「お前は運が良かったな?俺に拾われて」
俺はそんな子猫を見ながらタバコに火をつけた。
「名前どうするかなぁ?」
俺はボーっとしながら、猫の名前を考えていた。すると、いつの間にか牛乳を飲み終わった子猫が俺の足に擦りついて来た。
「腹いっぱいになったかぁ?」
「みゃぁっ♪」
俺は子猫を同じ目線の高さまで抱き上げると、ふと10代目の顔が浮かんだ。
「あ〜、俺マジで10代目が好きなんだぁ……よし!お前の名前はツナでどうだ?」
「みゃぁっ♪」
ツナと名づけた子猫は小さな尻尾を左右に振りながら喜んでいた。
しかし、俺はこの後とんでもない出来事に巻き込まれるということを予想もしていなかった。
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