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□絶対領域論議
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2年生に進級した綱吉たち。
今年は始業式から暖かく、皆の気持ちも朗らかだ。

その若干浮かれた気分のせいか。

始業式の翌日の今日。
綱吉のスカートの丈が、膝下から膝上にと短くなっていたのだ。
紺色のハイソックスの上。滑らかな太腿が数センチ露になっている。
「おはようございます、10代目!」
と、元気良く言った獄寺だったが、それを見た瞬間に慌てだした。

「それ、腰で折ってるんですか?それとも裾、切ったんですか?」
「折ってるよ?え?ダメかな」
「ダメですよ!校則違反じゃないですか!」
「何急にヒバリさんみたいなこと言って…」

綱吉がスカートをこの長さにしたのは、京子の「冒険してみようか」の一言からだった。
確かに校則違反ではあるが、教員がガミガミ怒るほどではないので。
ドキドキしながら2回、腰でスカートを折ったらば。自称・右腕の獄寺がまるで厳しい生徒指導教師の如く怒り出したのだ。

「とにかくダメです!元の長さに戻してください!!」
「えー…折角短くしたのに…」

可愛く口を尖らせて見つめられると、一瞬、色々なものが揺らぐけれど。
そこをぐっと耐えながら「戻してください」と言い続ける。頑なにそれを続けると、徐々に綱吉の目の色が変わってきた。

「……何でそんなに言うの?」
「いや、元の長さで十分じゃないですか!」
「オレだって…一応女の子なんだよ?こんな事一回はしてみたいじゃないか」

明らかに怒りを帯びた目に怯んだ獄寺を見逃さず、綱吉はトドメを刺した。

「校則違反なんて、煙草吸ったりしてる君に言われたくない」

ふい、とそっぽを向いて。
通学路を一人で歩き出した。


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