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□絶対領域論議
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休憩時間――。

綱吉はずっと京子たちと居た。
朝の事がある獄寺は、そんな彼女たちの間に割って入ることが出来ない。
放課後になって、ようやく近付いた二人だが、心理的な距離は遠いままで。

しかし、山本・京子・花、そしてハルを交えた公園での会話は、和気藹々としていた。
そこで山本が何かに気付いたのか、無口で牛乳を飲みながら綱吉を見つめる。

「?どうしたの?山本」
「ん〜…?いや、ちょっとなー…」

そう言いながら綱吉の前で体を屈めてほんの少し顔を上げると、横から獄寺に踏みつけられる。

「何やってんだ、野球バカ…!」
「靴はやめろ、靴は〜。あ、おかげで今、更にイイ眺めに」
「っっ、テメー!!!」

反省した様子もない山本に怒った獄寺は、今度は襟元を掴んで顔を近付ける。

「果てるか?今ココで果てるか!?おぉ?!」
「いつもの花火かー?ホント獄寺面白ぇなー♪」
「花火じゃねー!!!」

ギャイギャイと騒がしい男二人を横目で見ながら、話す女子。

「仲良いね〜♪」
「バカなだけでしょ?たかだかパンツぐらいで」
「はひっ?山本さんまで…女の敵ですー!」

この中で一人浮いたのは綱吉だ。
パンツ?女の敵?一体何の事?と、答えを求めるように彼女らを見つめると、複雑な顔をされた。

「?どうしたの?ツナ君」
「あんた、もしかしてあいつらがケンカしてる理由がわかんないの?」
「……うぅ…」

頭が上がらない綱吉に追い討ちをかける。

「それは獄寺が可哀想よ〜。あんたのパンツ見られたくないから頑張ってるのに」
「黒川ァァ!!!」
「ホントのことでしょー?」

獄寺の怒りの矛先が、山本から花に変わると同時に、綱吉は先程の獄寺と山本の会話と行動を反芻して顔を赤くする。

「や、山本…もしかして…」
「見てねー見てねー♪」
「見てたらお前の命はねぇよ!!」
(じゃあ…獄寺君があんなにダメって言ってたのは…)

何だかよくわからない気持ちになった綱吉は、静かに俯いた。


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