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□それは無い。絶対に無い。
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「おはようございます、10代目!!」
「おはよう、獄寺君」
武は朝練で今日はいない。
話しながら獄寺をチラチラと気にするが、どうも変わった様子は無いようだ。
だからといって、疑いが晴れたわけではない。
むしろ、いつもと変わらない隼人に、更に疑念が増した。
(やっぱり…浮気?)
「!10代目!!」
「え?うわ、っ!」
突然抱き締められた直後、目の前を自動車が横切っていった。
「大丈夫ですか?オレを見てくださるのは嬉しいですが、前もちゃんと見てくださいね?」
「う、うん…ごめん、ありがと」
「いいえ。貴女をお守りすることが出来て良かったです」
そっとこめかみに口付けられ、綱吉ははにかんだ。


授業の合間の休み時間も、昼休みも。気付かれないように監視してみるが、隼人はずっと綱吉の隣にいて離れようとしない。
武が近寄ってくると相変わらず威嚇する。
(浮気なんて、考えられないんだけどなぁ……)
奈々が作ってくれた弁当を口にしながらぼんやりと思う綱吉が目にしたのは、少し前から一緒に昼食を取るようになった京子や花と話す隼人の姿。
「獄寺君って、前より優しくなったね♪」
「あ?そうか?」
「何か丸くなったわよね。性格が」
「喧嘩売ってんのか、黒川…」
綱吉の胸中に急に怒りがこみ上げてくる。
(何…今までそんなに話さなかったのに。何でそんなに女の子と話すようになったの?確かに“皆と仲良くして”って言ったのはオレだけど…っ)
居ない所で話しているのを後で聞くのも悲しいが、目の前で自分以外と話されるのもかなり腹立たしい。
京子や花は大好きだし、本来彼女らと獄寺が仲良くしてくれると嬉しかったはずなのに、今になってイライラするとは何事だろうか、と考え、思い当たったのは昨日のハルと髑髏に教えてもらった事だった。
(……やっぱオレ以外の女の子に興味持ち始めたのかな…)
いつの間にか、半信半疑から半数以上が疑いになっていた。


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