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□それは無い。絶対に無い。
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悶々とした気分の中で泊まる用意をして、その間待ってくれていた隼人とともに彼の家へと向かう。
その間も疑惑は消えることなく。どうやって問いただそうかと、考えるのはそればかり。
隼人が話しかけてくれるので、会話が途切れることは無かったが、後片付けや、一人で風呂に入っている間はどうしても眉間に皺が寄ってしまう。
家でルームウェアとしているTシャツとスカートをパジャマとして着用し、歯を磨いて寝室へと向かうと、隼人は綱吉用にホットミルクをサイドテーブルに置いて、窓際で煙草を吸っていた。
「お風呂ありがとう、獄寺君」
「あ、はい。じゃあオレも入ってくるんで、それ飲んでゆっくりしててください♪」
「はぁい♪」

普通に会話も出来るのに、ふとした瞬間に湧き上がってくる思い。
「……どうしてくれよう」
ホットミルクを飲みながら、思案する。
静かな部屋で耳を澄ますと聞こえてくる微かなシャワーの音は、逞しい彼の体を想像させた。
「……他の女の子と付き合ってるかもしれないって事は…全部が全部体の関係があるってわけじゃないけれど…」

もし、彼の体を他の女が見たとしたら。

「……絶対許せないな…それは」

しかし、女性を大事にする国出身の隼人の事だから、もしかしたらイタリアに居た頃の彼女とかが日本に来ているかもしれない。

「いや、それでもムカつく…」

あれだけ「好きです」とか言っていたのが嘘かと思うと、もう、腹立たしくて仕方ない。

「あー、腹立つ…っ」
マグカップを持つ手に力が篭る。
飲み干したところで一息つき、タイミングよく隼人が戻ってきた。
「お待たせしました、10代目」
「あ、うんっ。牛乳ありがとうね?」
「はい♪洗ってきますね?寒くないですか?布団入ってていいですよ?」
「ん、わかった」
隼人が退室した直後、綱吉はベッドに潜り込んだ。


 
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