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□魔女っ子☆ツナたん
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[勉強編]


オレが学校に行っている間。彼女はどうやら“一人前の魔女になるための修業”というものを、オレが宛がった一室に篭ってやっているそうだ。
それに対してオレの好奇心が湧き上がってきたので、思い切って聞いてみることにした。

今日は土曜日。公立中学に通っているオレは休日だ。
彼女は少し遅めの朝食を取った後、現在午後1時。まだ部屋に篭っている。
たまには、とピザの出前を取り。部屋をノックして「昼食にしましょう」と促せば、彼女はドアの向こうから「はぁい」と一声返して、オレが飲み物を用意している間に部屋から出てきた。
「ん〜〜…もう、字ばっか見てて疲れてきちゃった…」
辛そうに唸りながら、眉間を押さえる彼女。
「お疲れ様です、10代目」
「うん…」
本当に疲れているのであろう。たびたび溜息をつきながら食べ物を口に押し込む姿は見てて痛々しい。
「これ食ったら、少しお休みになったらどうです?ここん所ずっと勉強しっぱなしでしょう?」
「ん〜、そうなんだけど、オレ勉強苦手だからさ…少しでも人よりやらないと追いつかないんだよね…」
「体壊したらそれこそ勉強出来なくなりますよ?たまにはいいじゃないですか。ね?」
冗談ではなく、今日の彼女はあまり顔色が良くない。
オレが心配の色を濃くすると、10代目はようやく頷いてくれた。
「心配かけてごめんね?ありがと♪本当言うと、一昨日ぐらいからやる気はなくなってた」
「そうなんスか?!スミマセン、気付かなくて…」
「うぅん、獄寺君のせいじゃないし!楽して世代交代出来たら一番いいんだけどね〜(笑)」
彼女がやっと笑ってくれたことにホッとして、オレはとりあえず眠れるようにとホットミルクを甘くして出してさしあげた。

「あの…10代目」
「うん?」
和んできたところで、意を決して聞いてみる。
「どんな勉強してるんですか?もしよかったら…少し書物とか読んでみたいです」
「見たい?いいけど変わってるね〜。字ばっかりの本見てみたいなんて」
規律を重んじる彼女の事だから、断られる事を予測していたのだが、どうやらそこまで重い規定はないようだ。
ミルクを飲み終わった後、彼女は自分が使っている部屋のドアを開けてくれた。
「――――あ、ごめん…汚くしちゃって…」
「いえ、全然構わないです!」
必要最小限の物だけで良い、と言う彼女に、オレが用意した布団一式とローテーブル。
それを埋め尽くすように、分厚い本や書類が部屋中に散らばっていた。部屋の隅には衣類が綺麗に畳んで置いてある。
ぬかった。肝心な物がこの部屋には足りてない。

「すみません、10代目!オレ、この後ひとっ走りしてラック買ってきます!!」
「あぁぁいいよ別に!めんどくさがって片付けないオレが悪いんだからー!」
「いえ、気付かなくて本当に申し訳ありませんでした!10代目はすみませんが、オレの部屋でお休みになっててください!」
「そっちの方が申し訳ないよぉ!!」


この後夕食までの間、大きめのメタルラックや本棚を組み立てるのに勤しんでいるオレが居た。





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