本棚

□study
3ページ/5ページ

座ったまま、いつの間にか眠っていたらしい。
目を開けると、これまたいつの間にか隣に居た獄寺君の肩を借りていた。
慌てて起き上がって、獄寺君に謝る。

「ごめんっ!寝ちゃってた!」
「あ、お疲れ様でした。すみません、時間掛かってしまって…」
「ううん、オレの方が…勝手に先に出ちゃったし…」

正直、あんなに時間を掛けて見れるのが羨ましいんだ。

「お気になさらないでください。この後、何か予定はありますか?」
「特にないよ?」
「じゃあ、夕飯まで少し歩きましょうか」

断る理由もなく。
二人で立ち上がって歩き出した。

大きなビルの中にあった美術館。
外には地上1階から11階まで続く大階段がある。
外に出ると最近冷たくなってきた風が身体に少し堪える。少し震えると、獄寺君が自分の上着を羽織らせてくれた。

「い、いいよいいよっ!獄寺君、風邪ひいちゃう!」
「平気ですよ、今まで中に居て暑かったんです。今くらいだとちょうどいいですよ♪」

返そうとしても聞くはずもなく。せめてものお詫びと思い、勇気を出して、腕を組んで歩いた。
顔を真っ赤にして驚いていたのが、印象的だった。

迫力のある長い階段を一番上まで行くと辺りの夜景とビルの内側の装飾が一望出来てとても爽快だった。
時間も忘れてそれに見惚れる。

「綺麗だね〜♪」
「そうですね〜♪」


 
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ