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□ダイキライ、ダイスキ
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奈々がわざわざ洗濯までしてくれた制服に袖を通しはしたものの、何がどうなったのかさっぱりわからない。感じ取れるのは綱吉の様子がおかしいことくらいだ。
あんなに嬉しいことを言われたのは、付き合い出して以来初めてに違いない。

(何なんだ一体……)

顔を洗いながら考え込むものの、結論が出るはずもなく。獄寺は借りたタオルで顔を拭き、髪を整えた。
そこで洗面所のドアがノックされ「どうぞ」の声を合図にドアがゆっくりと開く。
「獄寺君…どうしよう…大変、な事に…なった…かも」
「……?いかがなさいました?」
また綱吉の様子がおかしい。具合が悪いわけではなさそうだ。しかし、ひとつずつ言葉を確かめながら話している。
獄寺は目線を綱吉に合わせて少し屈んだ。
綱吉は続きをポツリ、ポツリと話し出す。

「何か…逆…のこと…言ってる…気が、する、んだ…昨日は…こんな事、なかっ、たのに」

探り探り話す綱吉の痛々しいことといったら、ない。
「大切な10代目が苦しんでいる」
その気持ちだけが獄寺を動かし始めた。

つい先程まで何も浮かんでこなかった頭の中が、クリアになる。

「10代目。朝飯食ったら、学校行って、即、シャマルんとこ行きましょう」



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