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□これは恋?【出会い編】
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 獄寺は目線をダンボールの中に送ると息を整えながら綱吉と山本が一緒にダンボールを覗いた。そこには、2匹の子猫が小さな声で鳴きながら体を震わせていた。
「わぁ、可愛い♪」
「捨て猫だな?しかもまだ生まれてそんなに経ってねぇな?」
「獄寺君が聞こえるって声はこの子達だったの?」
「はい、そうみたいです」
 獄寺は1匹の黄土色一色の子猫を持ち上げると、優しい笑みで子猫の頭を撫で始めた。そして、もう1匹の黒猫を「お前目つき悪いのなぁ」と笑いながら山本が抱き上げた。
「でも獄寺君。この子達見つけたはいいけど、この先どうするの?」
「それは今、俺も考えていたのですが……」
「このままこんな寒い中で置いていくのも可愛そうだよね?でも俺ん家は絶対無理だし…」
綱吉は困ったように獄寺の持っている猫の頭を撫でていると、そんな綱吉と猫を見て獄寺は静かに口を開いた。
「あの、10代目!この猫俺が飼います!」
「え?」
「俺のマンションはペット大丈夫ですし、前から猫欲しかったんで!!」
「そか。それなら獄寺君に二匹共預けよう?ね、山本?」
「ん?ん〜……?」
「?山本?」
 綱吉の提案に山本はじっと黒猫を見て「よしっ」と一言言うと立ち上がった。
「ツナ、こいつは俺が飼う!」
「えぇっ!?でも、山本の家すし屋だから……」
「厨房に入らないように躾れば問題ねぇよ。それにこいつ気に入ったし♪」
 山本はそう言いながら黒猫の頭をガシガシと撫でていた。
「10代目、この事はもう問題ないですよね?こいつらは俺達がちゃんと育てますんで」
「……うん。じゃぁ今度二人の家に猫見に行ってもいい?」
「はい、もちろんです!」
「いつでも来ていいぜ!」
 獄寺と山本、そして綱吉はその約束を済ませるとその場で別れ帰宅した。

******

 獄寺はマンションに着くとエレベーターを登り、玄関の鍵を開け中に入るとすぐさま暖房を入れて、タオルを手に取ると子猫と一緒に暖房の前に座り込んだ。
「さっき降った雪でびしょ濡れだな?」
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