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□これは恋?【出会い編】
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「んにぃ〜…」
「乾くまで大人しくしてろよ?」
 獄寺はタオルで濡れた毛を優しく拭きながら乾かし始めた。子猫もそれが気持ちいいのか目を細めながら大人しく獄寺の膝の上に座っていた。
「…そういえば、お前に名前をつけてやらねぇとな?」
「にぃ…」
「名前……」
 獄寺は子猫の毛を拭きながら、何故か頭の中にツナの顔を浮かべていた。
「10代目はなんか猫っぽいよなぁ。普段は大人しい猫で、ハイパーな時は毛を逆立てて怒っている猫…みたいな…」
 獄寺は表情を緩ませていると、自分で気付いたのか首を左右に振り始めた。
「猫の名前を決めるのになんで10代目の事考えてるんだ、俺は!!」
 獄寺は落ち着いてから子猫を見ると、子猫は獄寺をジッと何故か見つめていた。獄寺はそんな子猫を見ているとまたツナの事を思い出しゆっくりと口を開き始めた。
「………10代目」
「………」
「さ……沢田さん?」
「………」
「………つ、綱吉さん?」
「………」
 獄寺は恥ずかしそうに子猫に色々とツナの名前を呼び始めていた。しかし子猫は鳴きもせず、ただ獄寺をジッと見つめているだけだった。
「…………ツナ」
「にゃあ♪」
 最後の名前を呼んだ時、子猫は嬉しそうに尻尾まで振っていた。獄寺はその反応にもう一度、同じ名前を呼んでみると―。
「…ツナ」
「にゃあっ♪」
 子猫は獄寺の手にゴロゴロと喉を鳴らしながら擦り付いて来た。そんな子猫を見て獄寺は決断をしたのか笑みを浮かべて猫の頭を撫でていた。

******

 一方、山本は子猫を自分の上着に入れて暖めながら自宅へと向かっていた。
「帰ったら飯たくさん食わしてやるからな?」
「………」
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