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□Gravidanza?
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 沢田さんに気安く近寄るな。
 そんなオーラを漂わせ、獄寺は山本を睨み付ける。睨まれた本人は、意に介する風も無くヘラリと笑った。その態度にまた苛つきながらも、獄寺は「で?オレが、何だよ」と、彼らの会話の中に自分の名前が出てきた理由を問いかける。
「ツナの生理来ないから、ひょっとしたらお前がうっかり妊娠させたんじゃねーかって」
「帰国子女だし、やりかねないわよねー」
「黒川、獄寺君をどんな人だと思ってんの…」
「妊、娠……?」
 目を見開いて固まる獄寺に、綱吉が必死にフォローを入れる。
「お、大袈裟に考えないで?ただ単にちょっと遅れてるだけだろうから…そりゃ…まだ確認はしてないけど…」
「沢田さん!!」
 言い澱む綱吉の肩を強く掴み、獄寺は続ける。
「この間のあれですか?オレ、ちゃんと着けてしたんですけど、足りなかったんでしょうかっ?それとも何か他の原因…あぁでもっ…!」
「ちょ、ちょっと、落ち着いてよ獄寺君っ」
「もし妊娠してらしたら!何が何でも責任は取りますからっ!!」
 思い当たる節を矢継ぎ早に述べ、最後に綱吉の目を見て言った言葉は、何よりも綱吉の心を打った。

「早速ですが。病院、行きましょう」
「「「行動、早っ!!」」」
 思わず、綱吉と同時に山本と花が叫んだ。
「いや、あの…家の人に問い詰められると困るから…とりあえず、市販の検査薬買うよ」
「じゃあ、その代金はオレが出します」
「いや、いいよ、そこまでしなくて!きっと出来てないから。ね?あと、その…やっぱりちょっと不安だから…」
 結果…、一緒に見てくれる…?
 小声で言った綱吉に「もちろんです!」と大きな声で返事をした。

 
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