傘無し雨降り

□01.
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この場所は素晴らしい。

一見完全そうだが実は綻んでいる。

一見賑やかそうだが実は病んでいる。

一見均衡しているが実は水面下の激闘が毎日飽きもせず続いている。




「…うん、出だしのフレーズは決まり」

麗蘭は鉛筆を置く。

その後、うんと伸びをして、現在地の屋上から学校を見下ろした。




「ああ、この場所はこんなに素晴らしいのに」

誰に聞かせるでもなく、麗蘭はただただ喉から音を出す。

「好奇の目に晒されるでもなく悠々と在る」








ならば、ねえ。

私のキャプションが入ったって、いいじゃないか。




小さく呟かれたそれは、風の所為で掻き消えた。
 

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