オリジナル

□318号室
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「なぁ知ってる?」
「何を?」

足の包帯をかえていたら光輝くんが話を降ってきた。

「入院してる子達の間で流れてる噂だって勇気が教えてくれたんだけど、この階の一番すみっこの…318号室だっけ?あそこお化けが出るんだって!!」

その子供らしい話に普段なら笑えただろうが、今回はそうはいかなかった。

「へ、へー…そうなんだ〜…。包帯キツくない?」
「うん、大丈夫。空き部屋から夜な夜な声が聞こえるらしいんだ!!で、それがホントか確かめるために今日の夜、涼太と見に行くんだ!!先生に言うなよ?」
「また歩くの?そんなことしてちゃ足治んないよ?」
「もう大丈夫だってば!!こんなとこにずっと寝そべってるほうがおかしくなるって…、はやくサッカーやりたいなぁ…。」

光輝くんは少年サッカーチームでエースをつとめるらしい。練習で派手に転倒してしまい、運が悪く落ちていたガラス片で足を深く切り、入院を余儀なくされたが、本人はずっとこんなかんじだ。

僕は看護師として彼の世話につとめている。

看護師というよりただの話し相手…という認識のようでなんだか複雑だけど…。
出歩くって話をされたり?

「お化けのことわかったらちゃんと圭太にも教えるからな!!」
「あ、はは…」

呼び捨てだったり?

…まぁ、子供も親しみやすい看護師なんだ…って思っておこう…。

「光輝くん、怪我の調子はどうだい?」
「先生!!もう大丈夫だって!!」
「毎日それしか言わないからなぁ…。」
「はやくサッカーやらせてくれよ!!」

今入ってきたのが光輝くんの担当の湊先生。
過去の実績、優しさ故の患者・家族からの人気、美貌故の女性人気…すべてを兼ね備えた名医なのですが…

僕が光輝くんの話を素直に聞けなかった原因です…。
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