黒子のバスケ

□赤の社
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小学校の帰り道
私はまたあの神社へと足を運ぶ

別に友達がいないわけではないが
なんとなく
それが日課のようになっていたから

赤司神社

もう何年も参拝客など来ていないそうだ

でも
それが逆に私にとっては好都合
あの神社には
本当に神様がいる

私はその神様と話をする
普通の人には絶対に見えない神様と

だから
周りの人からは一人で何かを話している様にしか見えない
いわゆる気味の悪い子

小さい頃から
妖とか神様とか
そういった人ではないものが見えた
そのせいで周りからは気味の悪い子としてみられ
いじめを受けることもあった

今住んでいるところは
前の家から越してきたところだ
ここでは
絶対に妖怪が見えるとか言わない
またいじめられるから

『また来たのか』

頭上から声がふってきた

『つくづく物好きな人の子だ』

そう言って
目の前に現れたのは
この神社に住んでいる神様
赤司征十郎
適度な長さの赤い髪に
赤と淡い橙色のオッドアイ
加えて整った整端な顔立ち
凛とした透き通る声

普通の人なら絶対モテる
普通の人だったら…

「だって楽しいから!赤司と話すの!」

『それで?今日は何を話してくれるんだ?』

「えっとね!今日はね…」

いつも学校で起こったことを赤司に話す
現代のことはあまり知らない赤司
赤司はいつもこの神社で暇を持て余しているとか
だから
私と話すのは
いい暇つぶしになるそうだ

また明日も来るといえば
待っていると言ってくれる

そんな日常は
唐突に終わりを告げた

父親の転勤で
私たちは都会へと引っ越すことになった
引っ越す前に
赤司に別れを告げなければならなくなった

「赤司…」

『どうした?浮かない顔だな?』

「明日ね…遠くに引っ越すことになって…それでね…」

『別れを告げにきたか?人の子というのはいつになく忙しないな…』

「でも…いつか戻ってこれたら…またここに来るから!」

『そうか…ならその日を楽しみにしているぞ』

そして赤司と別れ
都会へと私は引っ越した
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