とある魔術の禁書目録

□現在進行形の恐怖
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いきなりですが、私、上条当麻は隣人、土御門元春に抱かれました。
土御門の口振りだと俺はどうやら何度も彼と身体を重ねていたようだったので、恐怖心しか感じなかったが俺は拒絶しなかった。できなかった。

(拒絶したら記憶がないことがばれてしまいそうで。)

土御門は『俺』にとって『友達』なんだと思っていた
けど、違ったんだ。
そもそも男同士で・・・とか、色々思うところはあるけど、土御門は俺の『恋人』だった。もちろん『恋人』であるならこうした営みは『普通』なのだが俺にとっては『異常』でしかなくて。だけど拒否したらばれてしまいそうで。
「っ・・・どうしたら、いいんだよ・・・!!」
そしていつの間にかそんなことに慣れてしまった。

「どうしたん?カミやん。ずっと上の空だけど?」
土御門の声にはっとする。
「あ・・・、なんでもない・・・」
記憶を失ってもう何度目になるかわからない行為の最中。どうやらボーッとしていたらしい。
「カミやん?」
土御門が体を起こす。
びくり、と体が震えるのがわかった。
不審に思われたのだろうか?土御門が顔に手を伸ばす。
「カミやん?」
それが触れた瞬間、自分でもどうしてだかわからないが涙が流れた。
「え・・・?」
「ちがうっ・・・!なんでもない・・・!」
「カミや・・・」
「続けろっ・・・土御門っ・・・」
今の俺に言える精一杯の言葉を土御門は聞いていないとでも言うように。
泣きじゃくる俺を抱きしめ、ただ静かにその背を撫でていた。

―慣らされた無意識下の恐怖は
突然の涙というかたちでそれを現した―

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