暁の夢

□02 傷跡の過去
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みんなが寝静まった深夜
シンアloveは背中の傷跡がうずき、目を覚ました。





「...」






ふと目の前を見れば、そこには整った寝息をたてるシンアの寝顔。
そしてアオ。




その姿にほっと心が温かくなった。
しかし、どうにも胸のモヤモヤと
するのがぬけない。





クラン村...
再び戻る日がくるなんて...


シンアloveは寝床から少しいった先の
小川で水浴びをすることにした。



これだけ冷えているときに、水浴びをすれば気分もスッキリするだろう...
身にまとっていた衣類をぬぎ、
小川へと体を沈める。






「っ...つめた...」






それでも痺れるようなひんやりした感触に頭は冴えてきた。
指先がじんじんとするが、その感覚さえも今は気をまぎらすためなら
不思議と我慢できた。





ガサッ






「っ!」




背後の茂みから音が聞こえて、
咄嗟に身を構える。
そして、その音を鳴らした正体が
姿を表した。







「......シンア...。」





お面をかぶったシンアの姿をみて
警戒をとく。




「......シンアloveがこっちに、行くのが
見えた...か......ら.....................」






次の瞬間バッと右腕で顔をかくし、
口元を震わせた。








......?
なにがなんだかわからず
首を傾げるリム。
自然と自分の姿を確認した瞬間、
真っ赤になり口をパクパクさせた。







「ごっ...ごめんなさい!///」






バシャンっと勢いよく肩まで
水につかり、それと同時にシンアも
シンアloveに背を向けた。





気まずい空気のなか、はシンアlove
小川から上がりさらしをまいて
衣類を羽織った。





「ぅぅっ...はっくしゅいっ」






足先から身震いがして、一気に寒くなってきた。
うん、そうなるよね...





フサァ




「...これで、少しは寒くない...」
「...ぁ、ありがとう...シンアっ」






シンアの白い毛?
モハモハとして温かい...
シンアはそっと体にかけてくれた。








心に広がる不安と恐怖と、
なんともいえない孤独感が
寒さと合体してどうにも心細くなった。


となりでじっと座るシンアに
ちょんっと服を摘むとこちらを向いてくれた。
そしてそのまま彼の胸に顔をうずめ、背中にきゅっとしがみついた。



するとほのかに安心感が芽生えた。
...シンアの鼓動の音がとても
心地がいい。



それでいて失う恐怖に、心が締め付けられた。













目の前の彼女は、とっても
とても弱くて、今にも消えてしまいそうなくらいに小さく見えた。



俺とは逆で太陽みたいな人。
暗闇の中に温もりをくれた、俺に微笑みかけてくれた、元気で
愛に溢れた人。



そんな彼女が、今怯えている。
なにかとても辛いことが
あったんだろうか...




俺にできること...
考えてみたけど、いい言葉は思いつかない。





とりあえず、そっとのシンアlove
頭を撫でてみた。
するとシンアloveは少し目を見開いて
見上げてきた。
そして優しく微笑むと、また
俺の胸に頭をうずめた。





少しはシンアloveのためになにかできただろうか...



俺はシンアloveの肩と背中にそっと手を置いた。








「...シンアに初めてあったとき、
シンアの気持ちがよくわかるっていったでしょ?」
「...コクッ」








青龍の里をでたあと、
四龍の声はずっと聞こえていたこと
、そしてシンアと似た境遇ということを話した。
もちろんシンアのことは、彼だけにこっそりと







「...それはね?...私もシンアと
同じなのっ。



私にも小さなときから
育った村があってね...

両親は私が生まれたことで自決したらしいの...
村の人達もね、心の声が聞こえてしまうことを恐れて近寄ってこなかったの...
でも幼かった私はそんなことわからなくて、力のコントロールも知らなくてその能力をつかってしまったの...

最初は小さな子ども...
お互いの悪口を言っていることを教えたの。
次は村の大人たち...そして、
どんどん話は大きくなって、私は
不利益になることをあらかじめ教えてあげれば対策がたてられるかもって思って言ったんだけど...信じてもらえなくて.........そうしたら、いつの間にか嘘つき少女ってゆーのが定着しちゃってね、それで...この傷はその時やられたものなの...」




そうして、そっとさらしをとり、
背中の傷をみせた。





「......なんでかな...。
シンアといたら、自然と
話してた...、ごめんね?変な話して......っ」





傷跡を隠そうとすると、
すっとシンアがそこに触れた。
そして優しく触れた指はつぅと
下へつたい






「......大丈夫...。」
「...え?」
「大丈夫...シンアloveが話してくれたこと...
俺は嬉しかった...」
「......シンア...」







ほんとは村になんて戻りたくなかったけど...でも、それでもあそこは
私の故郷...向き合わないといけないよね、
今は仲間がいる。
今ならきっと...きっと、大丈夫だ。




この時、私は確かにそう
感じていた...。








ーー

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