暁の夢

□03 因縁の村
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「やっとついたわねっ」





ヨナたちはとうとうクラン村
へとやってきた。





「人も結構いるし、ここなら
食料も調達できそうだねっ」
「久々に宿でもとって
ゆっくりするかぁ...」
「ハク...そんなことして大丈夫なの?」
「ご安心を姫さん、ここは
あまり名のしれない静かな村なんでね、龍の里と同じで役人やらがきたりしないんですよ」
「それなら安心してちゃんとした
布団で姫様がお眠りになれますねっ」
「そうねっ、たまには羽根をのばしましょっ!」




おー!とヨナの掛け声に合わせて
ユンとキジャとハクが手を挙げた。




「宿...ねぇ...、そうなったら
やっぱり個室をとって2人っきりd...ゴフッ!」
「絶対い、や、よっ!」
「ジェハloveちゃん...今の、感じたよ☆」
「緑龍鼻血でてるよぉーっ?」






ジェハloveの腹パンチをまともにくらいながら、ジェハはニヤリと笑った。









みんなの後ろで、小さくなりながら
周りを行き交う村人を気にするシンアloveにヨナが声をかけた。







「?シンアlove、大丈夫?」
「え、ぁ...ぅん」
「...周りの目が気になるの?」
「ま、確かにこのメンバーじゃぁ
目立つよね。」







じとーっとヨナや四龍を見ながら
ユンはいった。
赤い髪のお姫様、元将軍
白髪に龍の手、お面、
...なんか緑の長身、と黄色い髪
目立たない訳が無い。

そして、蛍光色に近い
ピンクの髪と紫色の髪の少女...





「おまけにジェハloveもシンアloveもその髪色だしっ...て、なんでシンアlove髪隠してるわけ?、いつもなら隠さないのに」
「う、うん...」
「......ま、いっか。
とにかくこのままじゃ目立つから、早いとこ宿をとろう」







そして、宿を探そうと
歩きだそうとしたときだった。









「いーじゃねーか減るもんでもねぇんだからよぉ?」
「ほらさっさと出しちまいなって!」





後ろから男の声がして振り向いた。
すると少し先のほうで、数人の男たちが村人を囲んで何やら話していた。






「でも...払えるお金がなくて...ですね

「おいおいこっちはあんたらのためになるもんを売ってやってんだぜ?」
「そこらへんくんでもらえなきゃ、
こっちも困るんだけどねぇ」






囲まれた村人は、冷汗をかいて
あきらかに動揺していた。


そのあやしい光景にヨナたちは
ヒソヒソと話す。







「何?...あれ...」
「さぁ、役人じゃあなさそっすねー?」
「何かを売ってるみたい...」
「...なんか、怪しいわ...」





ヨナがハクに問い、
その横でユンとスウも答えた。
ジェハは男たちを見据えて、
何かを考えるように顎に手をあてた。





「っ......」






その後ろでシンアloveはとんでもないものを見たように、目を見開いていた。






「...シンアlove?」






その様子に、心配したシンアは
そっと彼女の、名をよぶ

首を傾げるシンアの肩で、
アオがぷきゅー?と鳴いた。








すると、男たちがこちらの
視線に気づき睨みをきかせた。
しかし次の瞬間、後ろにいる
女を見た瞬間それは驚いた表情へと変わっていった。








「お前.........まさか、シンアloveか?」
「っ!...」
「やっぱあんときのシンアloveだろ!!
おいおい久しぶりじゃねぇか!
何年ぶりだよ!」






すると、村人を囲んでいた男たちはぞろぞろとシンアloveのもとにでやってきた。






「......知り合い?」
「......うん、昔のね」






ユンが耳打ちでこっそりと
聞いてシンアloveは小声で答えた。






「久しぶりね」






そういって、シンアloveは顔に
笑顔を張り付けていった。





「こいつらは仲間か?」
「.........そうよ。」





そして、男はそれぞれを
見渡しながらにやりと笑った。






「昔の知り合いとの再開を邪魔しちゃいけないわねっ」
「それもそうですね」
「シンアlove、私達は先に宿にいってるからゆっくりしていってっ」




「ありがとうっヨナちゃん」





そうしてヨナたちは、ぞろぞろと
先へ歩いていった。
途中、シンアが立ち止まってシンアloveの
方を見たがシンアloveはその視線に気づかないふりをした。










ーーー









ダンッ

「っ...」




人気のない路地裏にシンアloveを連れ込むと、男たちは彼女をおもいっきり壁に叩きつけられた。






「何年もどこでなにしてやがった」
「仮染の自由は楽しかったか?」







男たちはシンアloveを押さえつけると、
皮肉な言葉を浴びていった。
その目はひどく蔑むものだった。







「...あんたたちこそ...、まだ
こんなくだらないこと...
続けてるのね...」
「あ?笑わせんなよw
てめぇがんなこといえる立場じゃねぇだろ」
「うるさい...」
「...あ?」
「うるさいっていったのよ。
今の私はあの頃とは違う、
仲間だっている。
だから、もうあんたたちの言うことなんて聞かない。」







一筋の光をまとった瞳で
男たちを睨みつけるシンアlove。
その瞳の強さに目を逸らすことの
できない男たちは、彼女の胸ぐら
を掴む手の力を弱めた。


男たちが怯んだすきに
シンアloveはその手を振り払い
距離をとった。







「この村も...今の仲間にも...
手を出したら許さないから。」








そういってシンアloveは立ち去っていった。









「ふっ、調子に乗りやがって。




お頭に報告だ。
あの女が調子に乗ってられんのも
今のうちだ。」








周りの男たちも品のない笑い声を
して、シンアloveが立ち去っていった方角を見据えるのだった。










ーーー








「遅かったねシンアlove」
「うんっいろいろとあってね〜っ」






宿の部屋の扉を開けるとユンが出迎えてくれた。



ちなみに、小さな部屋が
数量あるだけなので三つのグループに別れて三部屋借りることになったのである


振り分けは
ヨナはハクとキジャ
ジェハloveはジェハとゼノ
そして、シンアloveはシンアとユンと
いうふうに決まった。





「それにしても、ここの村
資源やら設備に恵まれてるよね。
風呂だってあるし、そもそも宿なんてあるんだから」
「まぁねぇ、もともと活気のある村だったから」
「でも、なんか変なんだよね...
宿を借りるときにここの管理者と話したんだけど、表向きは賑わってるみたいだけど結構大変みたいだよ?」
「...大変って?」






薬の調合をしていたユンは
くるりとシンアloveの方をむき
人差し指をたてていった。






「どうやら、役人じゃない
別の奴が高い税金を払わせてるみたいなんだよね」
「...別の...奴?」
「そっ、俺も詳しくは知らないんだけどギジュンっていう男が何年か前にここに居座ってそれから、でかいツラして村を支配してるらしいよ」






ギジュンという名に
シンアloveは体をびくつかせた。

そう...あいつが...







「...シンアlove?どうかした?」
「っ...う、ううん!
そういえばシンアとアオは?
同じ部屋なんでしょ?」



キョロキョロと見回すほどの
広さではない部屋を探すシンアlove。




「二人なら風呂に行ったよ。」
「そっかぁ、じゃあ私も行こっと」
「俺はもうすんだから、出てきたら
シンアloveがはいっtはぁぁあ!!?「いってきまぁーす♪」

ちょ、ちょっとぉお!?」




パタン



ユンの叫び声も虚しく、
部屋の扉は閉められた。







「............うそでしょ...。」






部屋にただ一人、ぽつーんと
残されるのであった。









ーーー











ガラララ


「シンア!」
「!!?」






ドンガラガッシャンザバーガコン







素晴らしい音がお風呂場に響く。


扉を開けて入ってきたシンアloveの声に、
驚いたシンアはお湯の入っていた
桶を投げ飛ばし、座っていた椅子から転げ落ち桶のお湯はアオかかって、ほおり投げてしまった桶はシンアの頭上にふった。






「...大丈夫?」






何が起きているのかわからず、
シンアは壁の隅に張り付いて縮こまって硬直してしまった。






「一緒にはいってもいーい?」






お互いタオルをまいているため、
シンアloveはまったく気にしていないのか
お風呂場へとスタスタと入っていく。




「............っ!、(ふるふるふるふる」





やっと理解できたのか
シンアは全力で首をふった。






「なんで?(コテン
とゆーか目なんでアオで隠してるの?」
「(ふるふるふるふる」
「開けないの?」
「(コクコクコクコク」
「私の前では目を閉じなくても大丈夫なんだよ?」
「(ふるふるふるふるふるふる」








アオをはぎとろうとするシンアloveを、
シンアは全力で静止した。





「...てゆーかシンア顔真っ赤だよ?!
のぼせたの?顔見せてっ!」
「(ブンブンブンブンブンブンブン」






ツルンッ




「わっ!」
「っ!?」





濡れた床で滑ってシンアloveはシンアの
方へと倒れ込んでしまった。
そして、壁が背後にあるシンアに
密着する形になってしまった。





「いったた...ごめんね、シンア...
シンア!?」







ぷしゅーーーっと気絶した
シンアはその場で倒れてしまった。
へにゃりとシンアの体から
力がぬける






┣¨┣¨┣¨┣¨どうしよう!!
え、シンア息してる!!?
どうしよう、これ...
なにかした方がいいんだよね!




えええええっと、そうだ!
人口呼吸!!!!!!






てんぱりすぎたシンアloveの脳内は、
もう正常な働きをしていなかった。







「...よしっ」
「ぷきゅぅ〜?」






シンアを仰向けにしたリムは、そっとシンアの顔をあげて顔を近づけていった。

それをそばでアオが見守る。





...パチリ


と、あと数cmの距離で
シンアが目を覚ました。






「!!!?」





目を開けた瞬間の光景に、雷で撃たれたような衝撃をうけたシンアは、バッとシンアloveをどけて飛び起きた。







「シンア、大丈...」






ピューーーーーーーーッ
全力疾走でシンア必要な
お面やらをもつと風呂場から
走り去った。






「え、ちょシンア!?」





慌てて後をおってお風呂場の
扉までいくシンアlove。






するとちょうどお風呂場に
きたジェハとジェハloveが、飛び出していくシンアとぶつかりそうになった。







「おおっと、危ない」
「っシンア?」






二人に気づいているのか
いないのかシンアそのまま逃走をはかった。







「どうしたのかしら...
目は見えなかったけど、
ほっぺ真っ赤だったわ...」
「......さぁ、私にも...」
「なるほどねぇ〜、シンア君には
刺激が強かったかなぁ(にや〜」





シンアloveをみてジェハはからかうような視線をおくる。







「僕たちの前に先手を撃たれるとはねっ、いたぁっ」
「だから私はジェハの洗濯物をもらいについてきただけって言ってるでしょ!!」





思いっきり背中を叩かれてエビぞりになるジェハにジェハloveは顔を真っ赤にして反論した。




「...?(こてん」





その中でただ一人、シンアloveは首を傾げるのだった。









ーーー










「なんだか風呂場のほうが騒がしいようだが。」
「みんな久々のお風呂に盛り上がってるのよ」
「だけだといいんですけどねー。」






平和なヨナ一行の部屋だった。












ーーー







「んっ、おかえりジェハlove」
「うん...」
「どうしたの?顔ひきつってるよ?」
「まぁ、いろいろあったのよ...」
「そっかぁ、元気のないジェハloveを
ゼノが元気にしてあげるぅ!
んぎゅーーーっ!」







ジェハは一人で入浴して、
ゼノに癒されるスジェハloveであった。







ーーー







「シンア、いつまでそこにいるの?
こっちにきて一緒に寝よ?」
「............。」






そろそろ寝ることになった
シンアloveたちの部屋は、三人分の
布団をひいてユンとシンアloveはもう寝る体制に入っていた。


しかし、戻ってきてから部屋の隅で
ずっと小山座りをしたままじっと
動かないシンア。
そんな彼にシンアloveが声をかけた。






「シンアっここにおーいでっ」






ポンポンと自分の左側の布団を叩きながらよんでもシンアは、
固まっているだけで反応はなかった。

どこかポケーっとしている様子でもある。







「お〜い〜で〜ってばぁ〜っ」
「...っ(ふるふるふるふる」







動こうとしないシンアを引っ張って布団まで連れていこうするシンアlove。しかしシンアは必死で壁にしがみついて抵抗した。







「もうシンアが可哀想だから
やめてあげて!?」








その後、シンアが布団に入ったのは
しばらくたってからだった。










ーー

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