暁の夢

□06 焔に揺れる怒り
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「そいや!!」
「ぐわぁあ!」
「たく、どんだけいんだよ。
はやく姫さんのもとにいかねぇと」






ヨナのもとに向っていたハクとキジャとゼノは追っ手の賊との戦いで、
外庭にいた。






「しかたないだろう、地下へと続く入口付近は火を放たれてしまったのだから...しかし、違う道で姫様を助けに行こうにも...」






試行錯誤しながらきりのない賊の
攻撃を交わす。


しかし、疲労が溜まってきたのか
キジャの龍の爪は熱を持ち始めていた。





「白蛇兄さんは降伏ですかい?」
「まさか、貴様こそ息が上がっているぞ」





するといつのまにどこかへ行っていたのか、ゼノがなにかを発見して声をあげた。






「兄ちゃんと白龍ー!
ゼノが下へと続く外階段見つけたから〜!」
「でかしたぞ!」
「いつのまに。」






ぶんぶんと手を振って笑顔で駆けつけてくるゼノ。
そしてハクたちは残りの賊たちを一掃してゼノの案内する外階段へとむかった。











「小城の裏のところにあったんだー!
ここここー(にこぉ」
「うむ!さっそく姫様を救いに『ズズ』ひぃ!?む、虫!?」







そばの外壁がズルりとずれ、ガタガタと揺れる。
不思議に思ったハクが近づいたときだった。





ガララ


「......ぷはっ!」
「「「...っ!!」」」






「...姫さん...。」
「!!ハク!」







そこから現れたのはヨナだった。
土埃をかぶった髪をはたきながらハクたちのもとに駆け寄る。






「姫様ご無事で!!」
「娘さんケガしてない?」
「私は平気よっ」
「どうやってここまで...」
「シンアloveが...助けてくれたの、隠れた道を教えてくれて...
それより、大変なの!!」





体を震わせハクにすがりついて
、ヨナは目に涙をためながらいった。




「お願い!シンアloveを助けて!
シンアlove...きっと、刺し違えてでもギジュンを殺すつもりなんだわ...
このままじゃ...シンアloveが...」
「...大丈夫ですよ。」






仲間の死の恐怖に怯えるヨナを
そっとハクは抱きしめた。
そして、心の緊張がとけて
平常心を取り戻したヨナはそっと
ハクの腕から離れる。






「...そうね、もう誰も死なせない。」






そして、ハクから弓を受け取ると
ヨナはきびすを返す。



まっててシンアlove
今、助けるから...













ーーー





そして、同時刻
ジェハloveたちは...














「はぁあ!!」
「ぐぁああ!!」





最上階を目指して上に上がりつつ
追っ手の賊たちと交戦していた。


しかし、倒せない相手ではないが
数が多くて進むのに時間がかかっていた。






「まったく、どこから湧いてくるんだか...」
「はぁ...はぁ...きりが無いわ、」
「最上階まで後少しだから、みんな頑張って!」






そして、迷路のような城のなかの
階段を見つけ次の階へと登ろうとしたとき...シンアがふと何かに気づき立ち止まった。






「シンア、どうしたの?」
「...火...入口から火がでてる。」
「え!?」
「っ!誰かくるわ!」






そしてジェハloveが反応した方角をみると、何やら大きな影がのろりとこちらに歩いてきていた。
その影はある程度の距離のところで立ち止まった。
右肩になにかを抱えて...






「...シンアlove!!」
「...あんたがギジュン?...じつに女性の扱いが美しくない...。」

「よくも...ここまでやってくれたな...。てめぇらみんな、皆殺しだ!!!!!!!
はははははは!!ははははは!!」







尋常とは思えぬ笑いにジェハloveたちは動揺した。

するとユンがギジュンの
異変に気づき口を開く。







「あいつ...麻薬を飲んでる...」
「どういうこと?ユン」
「あいつから異臭がする。
...たぶん、いろいろ手を加えた麻薬だと思う...。」









確かにする嗅いだことのない
異臭にみんなはジェハloveの話に納得した。






「そうだ!!そこのガキのいうとおり、こりゃ戒からの密売で手に入れた麻薬を改良したもんだ!」
「やっぱり...」
「村で怪しい商売してたのはこの麻薬だったのね...」




「まぁ、...ただの麻薬とはちっとちげぇけどな...」




ギジュンの様子が一変したことで、
ジェハたちもそれぞれ身構える。
しかし、次の瞬間ギジュンは背負っていたシンアloveを片手で吊るすようにもつと容赦なくお腹を無数に殴りつけた。






「あぁぁああっ!!」
「ははっこりゃいけね、子供が
作れなくなっちまったか?ははははは!!」
「っ!...ウウゥ」







その光景に怒りが頂点へと達した
シンアが切りかかろうとした瞬間、ギジュンはシンアloveの首をもち、盾がわりにした。






「っ!」
「おおっと近寄んじゃねぇよ。
うっかり殺しちまうじゃねぇか」





すんでのところでシンアは
硬直し、切りかかろうと構えた剣を震わせる。



その場にいた全員が、苦虫を噛むように歯ぎしりをしてギロリとギジュンを睨みつける。






「こいつには新しく開発した
薬を飲ませたんだ。
痛覚が過敏に敏感なって、通常の殴られた痛みが全身の骨を砕かれたような痛みになる。
麻薬がきれたあとは人体や精神にどんな異常をきたすかわからねぇけどなっくくくくくくく」

「よくもシンアloveにそんな薬を!!!」






構えた扇を今にも折れそうなくらいに握り締めて、ジェハloveは吐き捨てた。






「そんなの飲まされた状態で、
あんなに殴られたら...シンアloveがどうなるかわからないよっ」
「つくづく汚いやつだ...」





おなじくジェハとジェハloveたちも、やりきらない怒りを収められずにいた。

そして、シンアも目の前にシンアloveがいるのに手出しのできないもどかしさに唸りをあげた。






「ははははは!!こいつを満足いくまで痛めつけたのち、殺してやるんだ。だから、邪魔すんじゃねぇよ...」






するとどこからだしたのか、
ギジュンは油を巻きしらすと続いて目の前に火を放った。
すんでのところでシンアは、後ろへと交わす。

周りはあっという間に火の海へと変わり、ギジュンへの行く手を阻む。


そして、ギジュンの影は奥へと
消えていく...






「シンアlove!!」
「ジェハloveあぶないよ!」





慌てて後を追うとするジェハloveを
ジェハが引き止める。






「でも、シンアlove...シンアloveが!」
「いったん引いてハクたちと
合流しよう。
裏の方はまだ火がまわっていないはずだから、そこからシンアloveちゃんのもとにいくんだ。
いざとなったら外から、僕が抱えて上に運ぶから。」
「...ジェハ...、わかったわ。」
「急ごう!早くしないと外への道にも火が回っちゃう!!」







そしてシンアの遠視能力で
火の回っていない道をみつけ、
迷路のような小城から脱出した。








ーーー









「雷獣!ヨナ!!!」
「ユン!」






外へと脱出したユンたちは、
小城の裏に回ったところでヨナ
たちと合流した。






「無事を喜ぶのはあとよ、
まだ、シンアloveがあの中にいる。」
「助けださねば...」
「ゼノの見つけたこの階段から、
上にあがってシンアloveを助けよう、」







そして、ハクが先導をきり
続いてキジャ、シンア、ジェハ
スウ、ゼノ、ヨナ、ジェハloveと
階段を上がっていく。






そして中階まできた時だった。
奇声を発して黒い影たちが、
上から降ってきて襲いかかってきた。


すかさず交戦するハクたち、






「なんだこいつらは!
普通じゃねぇぞ...」
「!こいつらギジュンと同じ
麻薬の匂いがする!」




大刃で攻撃をうけたハクは
違和感に顔をしかめる。
するとユンがその違和感にきづいた。



「なるほど、薬付けにされて
もはや自我を忘れていると...は!」






ジェハは攻撃の届かない上空で
暗器で攻撃をする。






「急所を狙っても狙っても、
倒れ...ない、」


ジェハloveは肩で呼吸をしながら行った。




しかも、筋力や胴体視力が
尋常でなく痛覚もマヒしているため
まさに不死身の獣のようだった。








「こんなところで足止めをくらってる場合じゃないのに...」




ヨナは歯ぎしりをして、
弓をひく。
すると、あることにきづいた。






「...彼らたちの服、っ!
この人たち、行方不明になってる
村人だわ!!」
「なんと酷い...」




その悲惨すぎる真実に、
誰もが胸を痛めた。








「きりが無い、ここは僕とハクとキジャくんで足止めをするから、
シンアとヨナちゃんたちは行ってあげて!ユンくんはシンアloveちゃんの手当てをしてあげて」



「行ってください姫さん」
「ハク...、うん!」






そして、先へと続く階段を
登っていく。






おねがい...
間に合って...





ーー

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