暁の夢

□08 因縁ならの旅立ち
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「ん...」





目を覚ますと、視界が白い光に
覆われた。
そしてだいぶ視界が定まると...
天井が見えた。





「...ここは...っ!」






起き上がろうとすると全身に
鋭い痛みが走り顔をしかめるシンアlove。

ここは、どこ?

、あ...宿か。



するとすぐ右手に違和感を感じ、
首を曲げるとそこにはユンが
座り込む形で寝ていた。
そばには水をいれた桶に、手ぬぐい
包帯やら薬草が散らばっていた。



そして、自分の姿を確認する。
かろうじていつもの下の衣類をまとっていてあとは上半身は包帯をまかれよくみれば全身治療されたところばかりだ。









その様子からユンが、手当てしてくれたことが伺えた。
そのことに心が暖かくなり、そっと右手を伸ばしユンの頭を撫でる。

すると、ユンが目を覚まして
目を擦った。





「シンアlove!!起きたの!?
大丈夫!?体、どこか痛くない!?気分は!!?」
「え...あ...」






ユンの質問攻めに混乱して、
試行錯誤しているとあらゆる
方角から声がした。






「シンアlove起きたの!?大丈夫!?」
「私に出来ることがあればなんでも申せ!?」
「大丈夫か?」
「シンアlove...大丈夫?」
「ゼノが薬塗ってあげるから!」
「他に痛むところはない?」






次の瞬間どっと視界にみんなの
顔がうつり、流石にびびるシンアlove。






「ちょっと!寝るなら自分の部屋に行ってって言ったでしょ!?
狭いんだから!」

「だってシンアloveが心配だったんだもの」
「仕方ないじゃない」





ぶすーっとヨナとジェハloveは頬を膨らました。











「とにかく、目が冷めたんなら
朝食にしないとね。
シンアlove...食べれそう?」
「ぁ......、............。」







黙り込んだシンアloveにユンは首を
傾げた。





「食欲ないの?」
「ううん、...違う...けど...




.........みんな、怒ってないの?」






そうシンアloveが言うとみんなはぽかんと
固まった。






「だって、私は...みんなを騙して
ヨナちゃんをさらって...たくさん、
みんなを傷付けた...。


嘘つきなのに...。」






じわっと溢れ出た涙を隠すように
布団に顔の半分を埋めるシンアlove。

そんな彼女にヨナは声をかけた。






「あなたは嘘つきなんかじゃないわ
優しい人よ。」





すんだ瞳で優しく言い放ったヨナの言葉に、シンアloveは目を見開いた。





「だって、私を気絶させたときも
小さな声で"ごめんねっ"て言ってたじゃない。それに、私の命が危なかったときシンアloveは命懸けで外まで逃がしてくれた。」
「...でも、」
「それに、あなたはわたし達を、
この村を守るためにそうするしかなかった。
だから、シンアloveは優しく人よ。」


「シンアloveとこの村とのこと、村の人に聞いたのっ」






ヨナに続いてジェハloveが口を開く。






「だから、怒る必要なんてどこにもないのよシンアlove」






目を細めて笑うジェハloveに、
とうとう堪えられなくなった涙を流しながらシンアloveは言った。






「っ...ごめんね」
「気にしてないわ!」





ヨナにつづいてみんなもそーだ!と声をあげる。






「でもね?」
「?」




デコピーン




「なっなにするのよ!」
「これからは辛いことでも隠さずに話すのよ!」




ビシッと人差し指を立てて
いうヨナ。





「ヨナのゆーとおり!まったく
どれだけ心配したと思ってるの!!」




目尻に涙をためながらユンは言った。





「シンアloveちゃんは一人で抱え込みすぎなんだよ。もっと僕たちを頼ってよ。
特に僕にね☆」




途中までかっこいいことを言っておいて、最後はウインクしながら言うジェハ。




「もう!ジェハってば、
シンアlove、これからはちゃんと相談してね?」




ジェハの頭をペちんと叩くと、
ジェハloveは困ったように笑っていった。






「"お兄さん"として私がシンアloveを守るからなっ」
「シンアloveが困ったらゼノが笑顔にしてあげるから〜(にこぉ」





キジャもゼノも笑顔で声をかけてくれた。




「みんな...ありがとう...」






涙を拭いながら感謝をのべるシンアloveを
優しくみんなは見守った。






「ハクも...いろいろと迷惑かけて
ごめんなさい」
「迷惑なんてかけられた覚えねーよ」
「あれ?ハクが優しい(笑)」
「うるさいですよ姫様」





そしていつもの笑顔が一同に戻った。
すると、シンアloveの隣で寝ていた
シンアがむくりと起き上がった。







「シンアlove...」
「シンア!大丈夫!?
斬られたんだよね、」
「いやあんたこそ大丈夫って状態だから!!」
「(コク」
「よかった...」





ユンの突っ込みをスルーして、
会話は続けられる。







「シンアlove...」
「何?」
「あの時...シンアloveは俺の目を...綺麗
だと言ってくれた。...だけど、俺は
.........」



黙り込んでしまったシンアに
その場のみんなが息をのむ。

そしてシンアloveが首を傾げた。






「俺は、...シンアloveの方が綺麗だと思う。」



「「「「「「「.....................。」」」」」」」






その場の誰もが水を刺したように、
静まり返り耳を疑った。

次の瞬間、シンアはボンッと
赤くなりその部屋から逃走をはかった。





「え、今の関係あった!?」




ジェハが拍子抜けして叫んだ言葉、
しかしこの場の誰もが思っていることだった。






「てゆーかけが人なのに逃走はかった珍獣を捕獲して!!!」




ユンの叫び声とともに珍獣たちはあわてて捕獲任務に駆け出していった。






「まったく、世話のかかる珍獣なんだから」





ふんっと鼻息をついて腰に手を
あてるユン。
ヨナとジェハloveもクスクスと笑った。





「で、シンアloveはご飯食べれそ...て、
リム?」





シンアloveの顔をみて放置されていた
質問をしたユンは彼女の表情に
拍子抜けした。





そこには、真っ赤な顔をして
ポーッと固まるシンアloveの姿があったのだ。





「プキュー?」





狭い部屋に、アオの鳴き声だけが響いた。





その後、毒と目の力の副作用の
麻痺があるシンアが遠くまで行けるわけもなく、珍獣共に無事捕獲された。







ーーー









そして、数日後ヨナたちは
クラン村をたつことになった。





「ほんとはもう少しシンアloveもシンアも、
安静なんだけど...」
「でも、そんな宿代使わせるわけにはいかないからっ私なら大丈夫!」





キジャにおぶられているシンアloveは
元気にガッツポーズをしてみせた。
ほんとのところ、シンアがシンアloveをおぶろうとしたのでそれをキジャが全力で止めて今にいたる。






「そんな血の気のない顔で言われても説得力ないから!!?」
「もーユンちゃんたらぁ〜♪」
「ちょ、シンアloveっあまり暴れるな//
む、むむ...が///」





すっかりもとに戻ったシンアloveを微笑ましくみるヨナたち。
だがしかしその中で、薄着に外套を
羽織っただけのシンアloveの、とある背中に感じる感触にテンパるキジャが一人。











「行ってしまわれるのですか」




お見送りにきた、村人たちが
ヨナたちに声をかけた。






「ええ、また次の場所へと
いかないといけないからっ」
「あなた方には、本当にお世話になりました。特に...シンアlove......」






村長はリムに視線を向けて、
彼女はキジャに頼んでそばへとよる。






「本当にすまなかった。
君には本当に償いきれないことを」
「いいのよっ、もう
私はこの村が大好きだからっ」





この数日で彼女と村人たちは和解し、誤解もとけた。





「また、いつか帰ってくるから」





そうシンアloveが微笑むと村長は、
涙ながらに笑った。





「あ、それから...
青龍様と...また会えて良かったな。
わしらのせいで引き離してしまったようなものだったのだが、」

「......え?」





理解できない言葉に聞き返そうと
したとき、ユンの出発の合図が
聞こえた。











「お世話になりましたー!!
どうかお元気でーーーー!!!」






ヨナが大きく手を振る。
そして、シンアloveもジェハloveも手を振り
ゼノも満面の笑顔で両手を振った。













こうして、シンアloveはながいながい呪縛の因縁から解き放たれたのだった。












ーーー









クラン村から離れた、
森の中







「久々の天幕だぁ〜」




ぐでーっと天幕で寝転ぶ
シンアlove。
動き回りたい衝動にかられつつも
ユンに絶対安静と言われたため
大人しく天幕のなかで寝ているのだ。




その天幕のなかにはもう一人
住人が








「シンアっ」
「?」
「......腕枕して寝ていーい?」
「!?」






シンアのあの発言以来、
自身の恋心にきづいたシンアloveは
シンアに猛烈なアプローチをしていた。
ウブでピュア〜なシンアは
事あるごとに動揺を隠せないでいた。





「......(固」
「ふふふっ」





結局腕枕する形になったシンアは
抱きついてくるシンアloveに固まり、シンアloveは顔を赤くしつつも幸せにそうに笑顔をつくる。



ふと、シンアloveは村を出る時の村長の
言葉を思い出して口を開いた。





「ねぇ、シンア
村を出る時にね、村長がいってたの
青龍様とまた会えてよかったねって
だけど、引き離してしまったのはわたし達のせいなんだけどって。
私にはなんのことだかわからないんだけど、シンアはなにかわかる?

もしかして、私が昔の虐待で記憶が一部かけてるのとなにか関係があるの?」





そしてじっと面をつけるシンアを眺めていると、



「わわわっ」




今まで固まっていたシンアが、
急にシンアloveを引き寄せて、彼女の
顔を自分の腕の中に沈めてがっちりと抱きしめた。


これにはシンアloveも驚き、動揺を隠せないでいた。






「ちょ//え、シンア?///」


「おやおやぁ、昼間からお熱いねっ
僕も混ぜてくれないかい?」





いきなり頭上から声がして、
そちらをむくと天幕の入口から
顔をのぞかせてにんまり笑顔をうかべるジェハの姿があった。



ズザザザ

「!?」
「わぁぁあぁあ!!!//」



と、あわてて離れる2人。





「あれ?離れちゃうの?」
「もー!けが人をおどかさないの!」
「ジェハlove痛い♡」
「はいっ二人のお昼ご飯だよっ」







二人のお昼をもってきた、
ジェハとジェハlove。



それぞれ、シンアは麻痺
シンアloveは傷があるため自力で食べられないので二人が食べさせる。






「はいシンアloveちゃんあ〜「シンアloveには私があげるからジェハはシンアにあげて!」...ヤキモチ?(にやっ」

「違うわよ!!///(殴」
「あ、あはは(笑」





そして昼食をとりはじめるシンアloveとシンア。





「どお?シンアlove、体の具合は」
「ユンの治療がいいからだいぶらくになったよっ」
「それはよかったっ」





それよりとシンアloveは
スウに耳を貸すように手招きをして、ジェハloveもそれに答えるように顔を近づける。






「隣でものすごくやばい光景があるんですけど!!(ひそひそ
私さっきからこらえるの必死なんだけど!?(ひそひそ」
「大丈夫!それは私も同じよ!!(ひそひそ」




そのとなりではというと、ジェハが
涼しげな顔をしてシンアにあーんとして、シンアもなにも動じずにジェハから送られてくるごはんを口に運んでいる。





「ジェハloveちゃんどうしよう、きゅんきゅんするよぉ(ひそひそ」
「そうね...胸が苦しいわ...(ひそひそ」






なにか違う世界の話題にされているともしらずに、二人は昼食を与え食べているのだった。







ーー

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