暁の夢

□09 はじめてのお友達
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「ユンー!夜ご飯のいのしし
捕まえてきたよぉ!」
「わぁ!すごい立派なって、
寝てなきゃダメって言ったじゃん!!」






森の中に狩りに出掛けた
シンアloveが猪を引きずって、天幕があるところ戻ってきた。

まだ傷がいえず包帯を巻いたシンアloveに絶対安静と言い聞かせたユン。
しかしそれを破った彼女にユンは
お叱りをする。






「えへへーっ
だってじっとしてられなくて〜☆」
「えへへじゃない!
ちゃんと寝てなきゃ夜ご飯抜きだからね」
「ごめんなさいユン様ぁ〜」






うるっと涙をためて謝るシンアloveに
ジェハとジェハloveが寄ってきて、なだめる。

そんな光景にユンはため息を
つきながら、もう一人の病人であるシンアのもとにやってきた。






「もう寝てなくて平気?」
「(コク」
「そっか、ならよかった」






するとユンはシンアのとなりに
腰をおろした。





「ねぇ、1つ聞いてもいい?」





シンアが首を傾げると、
ユンは話始めた。





「シンアloveがギジュンに捕まってたとき
、シンア尋常じゃないくらいに怒ってたよね」
「...俺、そんなに怒ってた?」
「かなりね。例えるならヨナの仇相手に怒る雷獣みたいに」
「.........。」







周りにはそんなふうに見えていたのかと黙り込んだシンアに、
ユンは質問の続ける。





「それに、日頃おとなしいシンアがシンアloveのことになると感情的になるし、
なにか特別な理由でもあるわけ?」





「それ僕も気になるー」
「私も〜」





天幕に眠りにいったシンアloveを見送ったジェハとジェハloveが、ユンたちのもとにやってきた。





「やっと寝た?
まったく、世話がやけるんだから」
「まぁまぁ、それより今の話の続きが聞きたいわっ」
「僕も気になってたんだよね」





やらやれと腰に手をあてるユンを
前に二人は座った。





「ただいまーって、何何?」
「どんな集まりだこりゃ」





すると剣の稽古をおえたヨナとハクもやってきた。






「?そんなところでなにをしているのだ?」
「何話してるのー?
ゼノもまぜてー(にこぉ」






それに気づいたキジャと、
散歩から帰ってきたゼノも仲間に入った。






「...結局みんな揃っちゃうわけ」






(¬_¬)と一言いうと、ユンは
後から来たヨナたちに話の内容を説明した。
すると、ヨナたちも同じように
気になっていたようで興味をしめした。





「てわけなんだけどシンア聞かせてもらってもいい?」





ユンがたずねるとシンアは、
少し考える様子をみせた。





「いいのよ?シンア
無理に話さなくても、」
「そうよっ、なにも無理にいえってワケじゃないから」






その様子に心配したヨナとジェハloveが声をかける。

しかし、シンアは大丈夫だと首を振って口を開いた。









「...少し、長くなる...けど...いい?」
「もちろんよ!」





ヨナが笑ってこたえると、シンアは
一度頷いて話し始めた。





「...俺とシンアloveは、小さいときに...
2度会ってるんだ...」













ーーー


























"アオ...どして、オレには友達ができないの?"




そう聞くとアオはいつも、
オレが呪われてるからだと言った。





外を出歩くな、それが
アオの言いつけだった。

アオは俺が隙をみて外にでると
必ず捕まえにきて出歩くなと
叱った。







そんなある日、里に外からの
来客がきた。








「いいか青龍。今日から五日間
外から来た村の商談がこの里に滞在する。だから、絶対外にでるな、
いいな!!」
「...うんっ」






アオはオレにいつもより念入りに
いいつけた。



外からきた人...か...
どんな人たちなんだろう








昼が過ぎたころ、里に村の商談が
やってきた。






「...?」






オレはなにか感じたことのない気配を感じて、家の窓からそっと遠視能力で外を眺めた。

たくさんの人がいる、

するとその中に小さな
女の子が1人いた。





「っ!」






次の瞬間、向こうからはオレの
姿は見えないはずなのに...

目が合った?
どして?...誰なんだろう、
あの女の子は...





オレはそのことが気になって、
アオの言いつけを破って外にでた。


木々が生い茂るなかを、
進んでいくとちょっとした広場にでた。
オレとアオの家は、村から少し
離れてるからここの広場をぬけて
木々が生い茂るところをもう少しぬけると村につく。
そして広場をとおり抜けようとしたとき、





目の前に、あの女の子がいた。








「...あなたが、私を見てた人?」

「...ぁ...、えと...」







言葉がみつからず、オレは
地面を見つめた。



しばらくすると女の子は、
オレの前までやってきて手を握った。
そして眩しい笑顔で言った。






「私とお友達になって?」
「...友、達?」
「...だめ?かな、」
「...だめ...じゃない」
「ほんと!?」






すると女の子はやったー!と
言ってオレにぎゅっとしてきた。





「私ねっお友達できたのはじめてなのっ!だからすごく嬉しい!」
「...オレも、はじめて」
「おそろいだねっ」





女の子はいつもにこにこしていた。


そして、アオ以外に触れられた女の子の手があたたかかった。








それから、女の子とたくさんのことをして遊んだ。

お花で輪っかをつくったり、
鬼ごっこをしたり、土にお絵かきをしたり




すると女の子が質問をしてきた。




「あなたはどうしてお面をつけてるの?」




どう説明したらいいのかわからなくて、とりあえずアオの言いつけだからだといった。
すると、女の子は"アオってだぁれ?"
と聞いてきた。





「アオはオレに剣を教えてくれたりする」
「あなた、剣ができるの?
すごいね!私もアオに会ってみたいな...」
「...会う?」
「...え?」
「アオに、会う?」
「...いいの?」
「(コク」
「やったぁ!」





草むらの上でぴょんぴょんとはねて
喜ぶ女の子。


だけど、急に動きをとめてなにかが聞こえたように、村のある木々のほうを見ると言った。




「...帰らなきゃ...」

「...え?」

「たくさんの、大人の男の人達が呼んでるからっ」





女の子は寂しそうに、そう言った。






「また明日、遊べる?」
「うんっ...ここで、待ってる」
「ありがとうっ」





さよならの挨拶をしようとすると
女の子はすっとオレの前まできて
こういった。





「最後に1つだけお願いしてもいーい?」
「...(コク」
「貴方の目を見せて?」
「...でも、」





オレは首をふってお面を
抑えてる。
だけど、女の子は微笑みながらいった。





「大丈夫だよっ」





なぜかその言葉に引き寄せられて、
お面を抑える手を下ろした。
そして、そっと女の子が
オレの面をはずした。




そして、はじめて女の子と
目が合った。






「綺麗ねっ貴方の目」






女の子は目を細めてにこっと笑った。

すると、なぜか急に胸が苦しくなって息をするのがつらくなった。






「君は...オレの目見て...平気、なの?」
「?うんっ、平気だよ」





アオにはこの目は絶対誰にも
みせちゃダメだって言われてた。

変な力があるから、だから
お面をつけて誰にも見せちゃダメだと。
制御の仕方は教えてくれたけど、
でも、まだオレうまくできない。
だから、オレの目みたら...
危ない。

だけど、女の子はオレの目をみて
綺麗って言ってくれた。








女の子はばいばいといって、
木々の中に消えていった。




また明日......


















家に帰るとアオに怒られた。
たくさん怒られたあと謝ると
アオは許してくれて夜ご飯を
一緒に食べた。





「あのね、アオ」
「なんだ」
「...友達...できた」
「...............は?」
「だから、友達...できた」
「寝ぼけてんのか?」
「え?」
「つか帰ってきてから
ふと気がついたら空見てボーッとして...はっきり言って変だぞ...お前。」
「...え」
「いいから早く寝ろ。」







そう言ってアオは寝てしまった。


ボーッとしてた、ううん...違う
"友達の女の子"のこと考えて
たんだよ...アオ。


明日、アオにも会わせるねっ








早く会いたいなっ






そして、オレもアオのとなりで
目を閉じた。








ーー

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