月と星の恋

□7 ドッキリ!アイドルの素顔
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「「ドッキリ番組?」」


打ち合わせ室で苺愛と藍媛は首を傾げた。
向かいの席には月城と黒月がいて、
机の上にいくつかの企画書を広げた。


「うん。グラビとプロセラの年少組に
オファーがきていてね。
その4人を隠しカメラをしかけて
ドッキリさせるものなんだけど、」
「内容が"愛の落とし穴"なんだ。
身近な女の子に気がある素振りをされて
告白をされて反応したとこで落とし穴に落とされるってやつだ。」
「お、落とし穴って痛いの?」
「安心していいよ。
床が抜けてトランポリンの上に落ちるだけだから
そんな大きなものじゃないよ。」
「よかった。それでウチらがなんで呼ばれたの?」


その理由はというと、その身近な女の子に
ふたりが選ばれたからだった。
アイドルをやってた2人だが顔だしを心配した、
しかし音声しか放送されないらしく、
それならと了承した。

そして担当する相手をくじ引きで決めた結果。
藍媛は涙。苺愛が郁、駆、恋となった。

それから3日間、2人は対象の相手に
気のある演技をすることとなったのだが‥‥


「え、まって
私3人にアプローチの演技するの?」


演技とはいえ3人にもそんな態度をとって
大丈夫なのだろうか‥‥と不安になる苺愛。
そこは二人きりになったときにだけ
その素振りをするだけでいいそうで‥‥

結局承諾して3日間のミッションがスタートした。


ーーー





それから3日間、二人きりになったとき
さり気なく距離を詰めたりボディタッチをしたり積極的な好意表現が続いた。

ある日はランニングから帰ってきた
いっくんに抱きつく苺愛。

「ただいまぁ」
「いっくーん!
おかえり!」抱きつき
「えぇ!?//」

ある日は朝ごはんも食べている恋の口元についた
クリームを手でとりペロリと舐める苺愛。

「恋くんクリームついてるよ?」
「え、どこ!」
「こーこっ」ニコッ
「はっへ、へぁ!?//」


ある日は密かに作曲をしている涙に
藍媛が差入れにおやつを持っていきあーんしたり


「涙、あーんっ」
「‥‥え?」
「だから、口を開けてほしいんよ」
「ぁ、あーん?//」


ある日は駆の家庭菜園の植えるのを苺愛が手伝いドキッとさせることを言ってみたり、


「かけるんと結婚して旦那さんだったら
きっと幸せなんだろぉな〜」
「‥‥けけっこん!!?//」

2人の迫真の演技に驚くマネズだが‥‥

彼女たちは心の中はパンク状態だった。


ーー




そして‥‥いよいよ
3日目愛の告白をする日がやってきた。

新宿のとある綺麗な紅葉の木の下へ
それぞれ4人とも違う時間に呼び出していた。

少々監督の以降でクライマックスの展開が変わった。

その場所へやってきたところで、
愛の告白をする。までは一緒だが、
果たして告白された際にキスをしてとお願いされたら応えるのか!?
もし、応えるとなったら二人の間に設置された
落とし穴に落ちてしまうのだ。


そして、記念すべき最初のトップバッターは
郁くんです!!

時間通りその場所へきた郁。
目の前には赤面した苺愛。


「‥‥ぁ、あのねいっくん。
じつは私‥‥いっくんのことが好きです!」
「へ!!?」
「‥‥それでね、もしお付き合いしてくれるなら、
キスを‥‥してください。」


そういって目を閉じる苺愛。
真っ赤になって口をぱくぱくさせる郁。
うーん、うーん、と考えたのち‥‥
( ー`дー´)キリッと覚悟を決めて苺愛のもとへと
歩き出した。


ガタン

「うわぁ!」ぽふんっ

ドッキリ大成功!


ーーー


続いて

時間通りその場所へきた恋。
目の前には赤面した苺愛。


「‥‥ぁ、あのねいっくん。
じつは私‥‥恋くんのことが好きです!」
「はい!!?」
「‥‥それでね、もしお付き合いしてくれるなら、
キスを‥‥してください。」
「は、はい!!?///」


その後も自問自答を繰り返して、
頭をかかえて考えたのち、
フンッ(。-`へ´-。)となって苺愛のもとへ歩き出した恋

そして彼も落とし穴へと落ちていったのだった。


ーーー


続いて、


時間通りその場所へきた駆。
目の前には赤面した苺愛。


「‥‥ぁ、あのねかけるん
じつは私‥‥かけるんのことが好きです!」
「はぇ!!?」
「‥‥それでね、もしお付き合いしてくれるなら、
キスを‥‥してください。」
「き、き、きすぅ!?//」


可愛くお口を抑えて照れる駆。
俺まだファーストキスもまだだし‥‥と
ブツブツ言っていたが(๑•̀ㅂ•́)و✧グッと
心を決めて彼もまた苺愛にむかって歩き出し、
落とし穴におちていった。



ーーー


そして最後は涙くん。

照れとドッキリの仕事とはいえ
騙した罪悪感に襲われる苺愛と
選手交代。

藍媛が待機して、

時間通りその場所へきた涙。
目の前には赤面した藍媛


「‥‥ぁ、あのね涙
じつは私‥‥涙のことが好きです!」
「‥‥うん、僕も好き」
「‥‥それでね、て‥‥え!?///」
「僕は藍媛が"はいストーーップ!!"」


これ以上はまずい、スキャンダルになると
監督の止めが入り涙のドッキリは
種明かしという形でおわった。


ーーー


「いっくん恋くんかけるん、ごめんなさい!」

収録が終わり種明かしして、
控え室にいたみんな。

苺愛が思いっきり3人に謝る。
しかしみんなクスクスと笑い
謝ることないよといってくれた。


「見事に騙されたよぉ!
もー俺ドキドキが止まんなくて」
「くそー‥‥ドッキリかぁー
まぢかー」
「や!これをカテに俺は頑張る!」


自分の気持ちにまだ気づかず
ドキドキなる胸の正体がわからなくて
首を傾げる郁。
恋は落ち込み、駆はむしろ燃え上がっていた。

そんななか、許してくれた優しい3人を見て
苺愛は心が温かくなった。

(恋愛‥‥かぁ。
私にもいつかする日が‥‥くるのかな?)


ちょっとだけ心境の変化が彼女の中でおこっているのだった。



一方、まさかの事態になり
中止となった涙と藍媛はというと‥‥

涙を見つめながら物陰に隠れている藍媛。
じーっと見つめていると視線に気づいた涙が
振り返り目が合う。

その瞬間藍媛はバッと物陰に隠れて
頬に手を当てた。


(わぁ〜////さっきの涙の好きって
どういう意味なんやろう//
き、きっとあれだよね
プロセラやグラビのみんなみたいにっとか
家族みたいにっとかぁ‥‥)

「藍媛」
「ひゃあ!」


突然涙に名前を呼ばれて飛び上がる藍媛。
ぎぎぎっと音を立てながら首をそちらに曲げる。


「な、なに?」
「さっきの、」
「え?」
「さっきの続き」
「えぇ!?」

まさかの続き!?と藍媛は固まる。


「あのね、僕は藍媛が好き。
海やいっくんみんな好き。
みんなといるとねここ、心が温かくなるの
それでね、藍媛といるとここの心臓が
とくっとくって早く動いて熱くなるの。
夏みたいに熱いのダメだけどでも、
なんだかこの熱いのは平気、むしろ
幸せなの‥‥それだけ」

そう言ってスタスタと黒月のところへ
言ってしまった涙。


「そ、それって‥‥
結局どっちなのぉ〜//」


思ったことを素直に言っただけの純情な涙に
苦悩する藍媛だった。



ーーー

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